ファザーコンプレックス
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ファザーコンプレックスとは、父親に対して、子供が強い愛着・執着を持つ状態であると一般に考えられているが、実際にはファーザーコンプレックスの方がより正しい言い方である。ただしこれは和製英語である。また、ファザコンと略する場合、父親に対して、強い愛着・執着を持つ子供自体を指すこともある。
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[編集] 用語の起源
父親に対する感情はジークムント・フロイトやカール・グスタフ・ユングが語ったが、彼らはファーザーコンプレックスという用語は使っていない。
初出は明らかでないがマザーコンプレックスの対義語として成立したと言われる。そのために特に男性側に父親が好きな娘というイメージで捕らえられがちであるが、近年は父親の愛情不足の成長後の補償というのが一般的である。
[編集] 概論
[編集] フロイトの説明
フロイトによると女児は愛情を初めは母親に向けるが、3歳～7歳頃になると女児は自分にペニスがないために男児と比べて劣っていると感じ、母親も同じであるために失望し、ペニスを持ちたいと願うため、父親に対して愛情が起こるとした。
しかし、この理論は1970年代以降のフェミニスト運動により猛烈な批判を浴びほとんど否定されている。
[編集] ユングの説明
ユングによると男性のアニマのイメージをもたらすグレート・マザー（大母神）と対になり、神、永遠の少年、賢人らがイメージで存在していると言う。
それらは、オールド・ワイズ・マン（老賢人）として意識化されファーザーコンプレックスの基となる。これは自己の完成をもたらすものであり、意識的なものは肯定的なファザーコンプレックスという。これが発揮された場合、女性の場合は優しさと無限の愛、男性の場合は勇気と堅固な自尊心を与えるという。
だが一方で無意識的な場合は勝手に暴れ回り、意識の産物である秩序や区別や認識・理性・良心を否定する傾向を持ち、否定的・暴力的・破壊的な性質を持つとされ、これはウロボロスのイメージに代表されるように否定的なファーザーコンプレックスとなってしまう。
[編集] 一般に言われる説
父親と距離を置くような厳格な家庭で育った場合、厳しい父親に表面的な愛情表現をされないまま成長してしまったために、その欠落感を埋めるために父性的なものに憧れ、ファーザーコンプレックスが形成されるとされる。
また、父親が人生初期に死んだ事や離婚などで不在である事で、父親が理想化されることなどによっても形成されると言われている。
[編集] 日本におけるファーザーコンプレックス
日本の世襲政治家は、男女を問わず父の七光りでその地位を得たと見なされがちであり、これをさして「父離れしていない」と揶揄することがある。年上男性と不倫を繰り返す女性にはファザコンが少なくないと言われたり、日本では特に、「父親離れしていない」「自己決断力に欠ける」娘、と言う図式で捉えられるが、男性のマザコンに比べれば世間の目は厳しくはないのが一般的である。
[編集] 欧米におけるファーザーコンプレックス
父親の権威が未だ脅威として存在する欧米では、映画などにおいても父親に対する尊敬的表現は少なく、むしろ憎しみなどの攻撃対象となる場合が多い。映画『殺人豚』など否定的な意味合いを以って描かれる事もしばしばである。いわゆる否定的なファーザーコンプレックスというのがほとんどである。
