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ピンボール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

フリッパーピンボール(Flipper Pinball)(通称「フリッパー」または「ピンボール」)とは遊戯に用いられる機械であり、金属の球を用いて点数を競うゲームである。基本的な構造は傾斜した盤面とそこを転がり落ちる球、それが最後に落下しないよう跳ね返す、フリッパー(元の意味は型の似ている「水かき」)と呼ばれる部品からなる。盤面にはさまざまな障害物や得点となるターゲットがあり、多くは自動で球を跳ね返す。プレイヤーはフリッパーで球を跳ね返しながら、できるだけ長時間維持しターゲットに当て得点を重ねる。盤面はスポーツや映画などを題材にさまざまな工夫が凝らされている。古典的なアーケードゲームの代表的なものである。

また早くからピンボールのビデオゲーム化もなされており、コンピュータゲームやコンシューマゲームにおいても様々な形で作られており、中には実在のピンボール機をシミュレートした物も作られている。

ピンボール・マシン
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ピンボール・マシン

目次

[編集] ピンボールの得点要素

ピンボールの目的は得点を得ることであり、得点はターゲットに当てたり、ある場所を通過させたりすることによって得られる。得点を得られるものには以下のようなものが挙げられる。

  • バンパー:ボールを弾くキノコ状のパーツ。
  • キッカー:ボールを蹴り出す装置。
  • レーン:ボールが通るルート。途中に、さまざまな得点が入るスイッチ等が設置されていることが多い。
  • ランプ:レーンのうち、空中に設置されたもの。ランプレーンとも言う。
  • スリングショット:主に、最下部の左右フリッパーの上に斜めに設置された装置である。当たるとある程度の力で打ち返される。打ち返された球はアウトレーンに行く場合も多いので注意が必要である。
  • ドロップターゲット:ボールとほぼ同じ大きさで、薄い長方形の的である。球を当てることによってドロップ(落ちる)し、盤面から消えることから名付けられた。多くの場合、数枚が一つのグループをなし、全部を落とした瞬間にグループ全てが的としてリセットする場合が多い。
  • ホール:盤上に開いた、ボールよりやや大きい穴である。ランプやレーンの先に設けられていることも多い。それ自体では大きな得点を得ることは少ないが、一定の条件を達成した場合の最後の条件となることも多い。
  • スピナー:レーンに設置されることの多い要素で、ボールが通過するとその勢いで回転する薄い金属製の板状の装置である。ボールの勢いが良いほど多く回転する。

近代ピンボールでは、これらの組み合わせによりフィーチャー(役)を完成させることができる。また、多くの場合フィーチャーはいくつかのグループに分けられており、そのグループ全てを完成させることにより大きな得点を得ることが出来る。さらにこれを複数回行ったり、特定の順番で行ったり、複数のグループでのフィーチャーを達成したりといった一定の条件をクリアすることでマルチボールやジャックポットの権利を得られるようになっている。

単にターゲットに当てる点数に比べ、フィーチャーの完成を達成したときの得点は飛躍的に高くなる。さらにマルチボールではボールが増えることから得点する可能性そのものが上がるだけではなく、得点が倍増する要素が加えられることが多い。もちろん、ジャックポットを獲得すれば、単に的を当てるのとは比べものにならない高得点を稼ぐことができるのである。

[編集] ゲームをより長く楽しむためのシカケ

[編集] エキストラボール

ピンボールでは殆どの台がエキストラボールによって決められた数よりも多くのボールをプレイすることが可能となっている。一定の条件を満たすことによりエキストラボールのライトを点灯させ、そこ(ターゲット、レーン、ホール等)を通したり当てたり入れることによって獲得することが出来る。

[編集] 再ゲーム

ピンボールでは一定の条件を満たすことによってクレジットを獲得することが出来る。

  • リプレイ:設定されている一定の得点(リプレイ点)を超えることによってクレジットを獲得。1980年以前の台では、複数のリプレイ点が設定されている場合が多かったが、現在では一般的に1つだけ。この点数は、いろいろな条件で自動的に変動することもある。
  • スペシャル:設定されている条件をクリアしスペシャルを獲得することによって1クレジットを獲得。
  • マッチ:ゲーム終了時に行われる。任意に選択される番号と獲得点数の末尾が合うと1クレジットを獲得。
  • ハイスコア:全ての台で採用されているわけではないが、その台の最高点などを獲得した場合、クレジットを獲得できる。順位によってクレジット数が変動する場合がある。

[編集] テクニック

ピンボールでの基本テクニックは、ボールを落とさず、正確に狙った場所にボールを送り込むことである。このためにフリッパーを操作するタイミングやテクニックが重要となる。

[編集] 揺らしのテクニック

熟練したプレイヤーはピンボールマシンを揺らすことでボールの動きに変化をつけることができる。"ティルト"はこの操作に対抗するために付け加えられた要素である。機構としては、逆円錐型のおもりの周りに金属製の環が位置する機構になっており、両者がふれると電気が流れるようになっている。もしピンボールマシンが大きく強く動かされると、おもりが動いて環に触れることになる。これで感知された状態がティルトであり、その場でゲームは終了し、操作不能になる。古いマシンの場合で、特に1人用専用の場合は、完全にゲーム終了となったが、近代ピンボールの場合は、そのときのボールだけが終了となる。なお、近代ピンボールの場合もう一つ"スラムティルト"という要素が用意されており、マシンを蹴ったりコイン投入部分に細工をしようとしたりすると、その時点で他のプレイヤーを含む全てのゲームおよびクレジットが無効となるようになっている。

この揺れに対する許容量は台の設定によって異なるので、ある程度はティルトを覚悟して揺らしている必要がある。そして、その許容の範囲内において揺らしを行うのがプレイヤーの力量である。揺らしには縦方向と横方向、そしてその複合技などもあり、やり方によってはアウト・レーンから球を救い出すことも可能である。

ちなみにティルトは初期のアーケードビデオゲームにも組み込まれ、タイトーが広報誌や直営店で使っているブランド名「TILT」もここから来ている。

[編集] フリッパーのテクニック

高度なプレイヤーなら1つのコインで1台のマシンを長く遊ぶことが出来る。エキストラボールを手に入れることで、1ゲームは長く続くことになるし、うまく遊んでスコアが稼いだ場合など、リプレイやスペシャルを獲得してクレジットが増え再ゲームができる要素もある。こういったマシンの場合、何回もゲームができる状態にしてその場から立ち去るプレイヤーもいたりする。

フリッパーには、ディフェンスとオフェンスの2つの要素がある。 フリッパー・テクニックによってボールが落ちるのを防ぎ、狙ったターゲットやレーンにボールを通すのである。 ディフェンス・テクニックの基本はダブル・フリップ、つまり2つのフリッパーを同時に上げることをしないことである。ボールの軌道を見極め、左右の適切なフリッパーを振ることによってボールの落下を防ぐことができる。

プレイヤーが出来る基本テクニックとして、フリッパーでのボールのホールドがある。これを用いることで、ボールを好きなタイミングで好きな方向に打ち返すことができる。これはフリッパーの根本にボールを保持することである。フリッパーをおろすと、ボールが再び転がり出すので、好きなところでまたフリッパーを上げればよい。

マルチボールの際には一方のフリッパーで1つもしくは複数のボールをホールドし、残りのボールでスコアを稼ぐといったテクニックも可能である。

フリッパー・テクニックは口ではなかなか説明することが難しい。数多くのプレーの経験と上級者のプレーを観察することによりテクニックが身に付く。

幾つかのテクニックを紹介してみる。

  • デッド・フリッパー・バウンス:フリッパーを振らないでボールをパスするテクニック。両方のフリッパーをダウンした状態で上から来たボールを反対側のフリッパーにパスする。落ちてくるボールには勢いが必要で、修得には経験が必要になる。
  • リターンレーン・トランスファー:勢いがあるボールがリターンレーンを通過したとき、フリッパーを上げておくことによって、ボールを反対側のフリッパーにパスすることができる。
  • ストップ・ショット:ボールの落下スピードとほぼ同時にフリッパーを下げることによって、ボールがフリッパーに触れたと同時にバウンドさせずに打ち出すこと。これは球の速度を見極めた上で初めて可能な上級テクニックの一つである。

[編集] ピンボールとメンテナンス

ピンボールはソリッドステート化が進んだとはいえ、可動部分が多いゲームなので、定期的なメンテナンスが欠かせない。フリッパーの動きについては特に気をつかわなくてはならず、ゴムの定期的な移動、バネの調子はランプレーンが多用されている台においては不可欠な要素であるといえる。残念ながら、細かいメンテナンスができる要員が少ないため最適な状態に保たれていない台が少なくない。

[編集] ピンボールの歴史

『総括』 

ピンボールのルーツは19世紀にアメリカで流行した「バガテル/Bagatelle」というビリヤードに似た玉突きゲームだと言われている。その後いろいろと改良が加えられたバガテルだが、1930年代にはいると大きな転換点を迎える。 

David Gottliebの設立したGOTTLIEBが1931年に製造したのが「Baffle Ball」で、このマシンの大ヒットが、今日のピンボール産業の基礎を確立した。 これは世界で最初に商業的に成功したピンボールであることは間違いなく、この点からもこのマシンを世界初のピンボールとする意見が一般的である。 

そして、この時のGOTTLIEBのディストリビューターに、BALLYの創設者のRaymond MolonyやWILLIAMSの創設者のHarry Williamsがいた。 


Raymond T. Molonyは、あまりにも売れる「Baffle Ball」をみて、「Ballyhoo」というピンボールを開発し発売した。そして、ここからBALLYという社名を採用したのである。 

しかし、GOTTLIEBが常に健全なアミューズメント・マシンの開発に注力したのと異なり、BALLYの歴史はギャンブル・マシンの開発と切り離して語ることはできない。 

BALLYは1933年には初のペイ・アウト・マシン「Rocket」を発表した。 

当時、多くの業界人は現金を支払うペイ・アウト・マシンの将来に楽観的で、GOTTLIEBやGENCO以外のほとんどのメーカーがこれに追随した。 

だが、ペイアウトは人々の反感をかうようになり、新聞でオペレーターは犯罪者のように扱われ、ピンボールをするプレイヤーは、働かずしてお金を稼ごうとする怠け者と見なされるようになっていった。 

そしてニューヨークを初めとする全米各地で、ピンボールが禁止されていった。  ピンボール生産の中心であるシカゴでさえも、ピンボールは禁止されてしまったのである。 


WILLIAMSの創設者は、いうまでもなく「ピンボールの父,ピンボールのエジソン」と呼ばれるHarry Williamsである。しかし、David GottliebがGOTTLIEBの歴史と共に歩んだのと異なり、Harry Williamsの業績はWILLIAMSの歴史とイコールではない。 

Harry Williamsの偉大な発明、電気式マシンの発明(「Contact」1933年,PACIF-IC AMUSEMENT MFG)と、TILTの発明(「Signal」1934年,BALLY)は、いずれもWILLIAMSを創業する以前のものである。この様な発明で、ピンボール・デザイナーとしての名声を固めたHarry Williamsは、BALLY,EXHIBITなどのピンボール・メーカーの仕事をした後、1942年についに自分の会社WILLIAMSを設立した。  そして1947年にSam SternがWILLIAMSの共同経営者になり、彼に会社を売却する1959年までWILLIAMSを経営していた。 

余談であるが、Harry Williamsはその後ピンボール・デザイナーとしてWILLIAMSで「Toledo」1976年を、STERNで「Galaxy」1980年や「Flight 2000」1980年などのマシンのデザインを手がけたり、ピンボール・コンサルタントとして活動をしていた。 


1930年以降、バックグラスの導入やエレクトロニクス化によりピンボールは発展したがBALLYによるペイ・アウト・マシンの発明と普及によって、次第にピンボールはギャンブル・マシンと見なされていく。

しかし、GOTTLIEBはペイ・アウト・マシンを生産しなかったことで、ピンボール業界を救うことになる。

David Gottliebは、ある意味では非常に保守的な経営者で、この様なギャンブル化の方向を好まなかった。そういった部分は、マシンのデザインにも現れており、これをGOTTLIEBらしさとも言うことができる。


そして、現在のピンボールの基礎となったのが、1947年のフリッパーを備えた世界最初のピンボール「Humpty Dumpty」である。

これにより、ピンボールはペイ・アウト・マシンやビンゴとは一線を画すことになる。それまでの、ボールをプランジャーで打ちだしたあとは運任せだったゲーム性を、フリッパーの発明によりプレイヤーの技術介入可能な、スキル・ゲームに変えたのである。

しかし、初期のフリッパーは、現在のようにフィールド下部に左右に配置され、ボールが落ちるのを防ぎかつどこかを狙うといったような性質のパーツではなかった。だが、このフリッパーの発明こそが、現在のフリッパー・ピンボールの礎を築いたのである。

また、1960年「Flipper」に導入されたアド・ア・ボールという概念はクレジットとも異なり、ピンボールをギャンブル・マシンと明確に区別する発明だった。


フリッパーの発明により、ギャンブル・マシンとは異なるアミューズメント・マシンに傾倒していったピンボールは、1960年代に入るとさらに発展を続けていく。BALLYは1963年に他社にはないマッシュルーム・バンパーを備えた「Monte Carlo」を発表した。続いて1966年に、初めての閉じるフリッパーであるジッパー・フリッパーを備えた「Bazaar」を発表した。


WILLIAMSのSteve Kordekは、1960年にムービング・ターゲットを搭載した初のマシン「Magic Clock」を、1962年には初のドロップ・ターゲットを持つマシン「Vagabond」を製作した。


GOTTLIEBも斬新なフィーチャーを持つ「Slick Chick」1963年を初めとして、「Gigi」1963年、「King & Queens」1965年などヒットを飛ばした。


さてピンボールの歴史を語るには、もう1社の名前を挙げなくてはならない。それはCHICAGO COINである。創立者Sam Gensburgは、同じピンボール・メーカーだったGENCOを設立したGensburg兄弟の4番目の弟である。

彼はGENCOには参加せず独自にCHICAGO COINを設立した。そして、様々なアミューズメント・マシンを作り出していった。

どちらかといえばCHICAGO COINの名前は、ガン・ゲームやベースボール・ゲームで広く知られているが、45年の歴史のなかで220台以上のピンボールを生み出している。そのうち、フリッパーが付いたいわゆるフリッパー・ピンボールは66台を数える。

日本でも、「Hula-Hula」1965年、「Gun Smoke」1968年、などはなかなか人気があったマシンである。

Sam Sternは1959年にWILLIAMSのオーナーとなり、後にこれを売却した。そして彼は、1977年にCHICAGO COINを買収し社名をSTERNとして、ピンボールの生産を続けた。


70年代に入っても、ピンボールは隆盛だった。

BALLYの「Fireball」1971年、「Nip-It」1972年、「Wizard」1974年、「Capt. Fantastic」1975年などは、今でもピンボール・コレクターに人気が高い。

なかでも大物ロック・バンドTHE WHOの「Tommy」はピンボールをテーマにしたロックオペラで、音楽も同名の映画も大ヒットとなった。

このタイアップ・マシンの「Wizard」と、Elton Joneがバックグラスに描かれている「Capt. Fantastic」の成功は、BALLYを業界のトップ・メーカーに押し上げた。


WILLIAMSは「Klondike」1971年、「Doodle Bug」1971年、「OXO」1973年、「Space Mission」1976年等の傑作マシンを製造した。


GOTTLIEBも「High Hand」1973年、 「Top Score」1975年、「Spirit of '76」1975年、「Big Hit」1977年などを作り、これらは今でもファンが多い。


CHICAGO COINも「Hee Haw」1973年「Cinema」1976年などのヒット機種を出した。


そして、ピンボールは健全なアミューズメントとして認知され、ピンボールを禁止する法律も解禁されていった。

まさに4大メーカーが傑作を次々とリリースし、ピンボールが隆盛を極めた時代だった。

余談ではあるが、日本やヨーロッパなどでその国独自のピンボールが作られたのも、主としてこの時代である。

日本ではSEGAが25台以上のピンボールを製造した。

他にもUNIVERASL(現ARUZE)などがピンボールを作っていた。


しかし、ピンボールを脅かす新たな勢力が台頭してきた。

それがビデオ・ゲームの出現である。

これによりピンボールは次々とアーケードから撤去され、メーカーは危機感を強めた。 そして、それまでのリレーを使ったピンボール(いわゆるエレメカ)から、IC化したソリッド・ステイト・ピンボールを開発していった。

面白いことに、ソリッド・ステイト・ピンボールの先鞭を付けたのは4大メーカーではなく、ALLIED LEISUREの「Dyn O' Mite」1975年である。

ただしこのマシンはソリッド・ステイトを取り入れたハイブリッド・ピンボールとして知られており、トータルにソリッド・ステイト化されたピンボールの最初のマシンは、同じ1975年にMIRCOの「Spirit of 76」と言われている。


実は各社とも密かに研究はしていたようなのだが、正式に量産されたのはBALLY「Freedom」1976年、WILLIAMS「Hot Tip」1977年、GOTTLIEB「Cleopatra」1977年とされている。


1960年代から70年代までの、ソリッド・ステイト化される前のGOTTLIEBには傑作が多い。今でも、この時代のGOTTLIEBのエレメカ・マシンを、BALLYやWILLIMASよりも好むオペレーターは多く存在している。しかし残念なことに、GOTTLIEBは徐々に時代の進歩から取り残されていった。


その後のソリッド・ステイト・ピンボールの登場にもうまく対応したBALLYは、1977年に累計生産台数20,000台を越える大ヒット作「Eight Ball」を発表した。これは、その後10年以上破られない記録となった。

WILLIAMS、GOTTLIEB、1977年にSam SternによりCHICAGO COINを買収したSTERNも奮闘していた。

1970年代までのGOTTLIEBや1970年代から80年代にかけてのBALLY隆盛の時代、WILLIAMSは90年代のようなトップ・メーカーとは言い難かった。

大手ではあったが、2番手以下のメーカーであった。「Firepower」1980年、「Black Knight」1980年などのヒットはあったものの、プレイヤーの評価も業績もあまり芳ばしくなく、一時期BALLYに買収されるという話があった程である。


さらに1980年代半ばになるとピンボールの衰退は顕著になった。各メーカーは試行錯誤を繰り返したが、打開策はなかなか見出せなかった。

バイ・レベル・マシン(多段階構造マシン)、リメイク・マシン、ビデオ・ゲームとの合体ピンボール、などの変わったピンボールが出現したが、所詮亜流でありヒットには結びつかなかった。

その中でSTERNは1984年に倒産した。

GOTTLIEBは1983年にMYLSTARに社名を変更し、ビデオ・ゲームにも力を入れる方針を打ち出したが、1984年に工場閉鎖に追い込まれた。

しかし、地元の投資家を募って1984年にPREMIERとして操業を再開し、ブランドとしてGOTTLIEBを継承していくことができた。


WILLIAMSピンボールを支えてきたのは、Steve Kordek,Steve Ritchie,Mark Ritchie,Pat Lawlorなどのデザイナー陣である。

特にSteve Kordekはピンボール・デザイナーとしてベテランで1940年代から今まで100台以上のピンボールをデザインしている。「Space Ship」1961年、「Friendship "7"」1962年、「Hot Line」1966年、「Cabaret」1968年、「Super Star」1972年、「Space Mission」1976年、「Wild Card」1977年などは名作として知られている。


さて、このピンボールの危機的状況を打破したのが、WILLIAMSの1984年「Space Shuttle」だった。プレイフィールド内部にNASAのスペース・シャトルの模型を配置したこのマシンは、久しぶりのヒット作となった。

実は、WILLIAMSはこのマシンに存亡をかけていて、一定の受注が取れなければピンボール事業からの撤退をする予定だった。

無事にこのボーダを超えたWILLIAMSは、ピンボール業界の新たなリーダーになっていく。

そして、WILLIAMSの復活を決定したのが、1985年の「High-Speed」である。

Steve Ritchieデザインのこのマシンは、ジャックポットやステータス・レポートを採用した初のマシンであり、さらに、故障しているスイッチを検出するための自動スイッチテストと、プレイヤーのレベルに応じて自動的にリプレイ点を調整する自動リプレイパーセンテージ等の新機能も採用した。Steve Ritchieはこの後も「F-14 Tomcat」1987年などのヒット作をデザインした。


一方、1980年代半ばになり業績不振に苦しんでいたBALLYは、1988年ついにピンボール部門をWILLIAMSの親会社であるWMSに売却することになった。

BALLYはブランドしては残ったが、これ以降のBALLYマシンは徐々にWILLIAMSのマシンに似た内容になり、デザイナーの垣根もなくなっていくことになる。


1987年に日本のDATA EASTは、アメリカでのピンボール事業をスタートさせた。

こうして生まれたのが、DATA EAST PINBALLである。

発足にあたって、Sam Sternの息子のGary Stetnが総支配人となった。しかし、DATA EASTのマシンは、STERNの伝統を受け継いだというよりは、ゲーム内容ではWILLIAMSの影響を強く受けていた。

これは、フリッパーの形状やゲームルールなどからもうかがうことができる。

だが、WILLIAMSに対抗すべく、DATA EASTは、独自の技術やシステムを積極的に取り入れていった。

第一作の「Laser War」は、ピンボールとして初のデジタル・ステレオ・サウンドを採用しており、のちにWILLIAMSもこれに追随することになる。

1989年には世界初のソリッド・ステイト・フリッパーを備えた「Robocop」を発表した。

これは、フリッパー・コイルに流れる電流を今までのEOS・スイッチにより制御する方式から、基板によりコントロールするシステムに変更したものである。

なお「Robocop」の2作前のマシンである「Playboy」1989年において、一部のマシンにはこのソリッド・ステイト・フリッパーが採用されていた。

1991年には、初のドットマトリックス・ディスプレイを備えた「Checkpoint」を発表した。これはその後の各メーカーの主流となり、WILLIAMSは「Terminator2」,BALLYは「Gilligan’s Island」,GOTTLIEB「Super Mario Bros.」でドットマトリックス・ディスプレイを採用する事になる。

その後DATA EASTのシェアは、GOTTLIEBを抜いて業界第2位になった。

つまりWILLIAMS/BALLYに次ぐメーカーになったのである。特に版権を使用したマシンの積極的な導入により、大いに業績を伸ばした。「Batman」1991年、「Lethal Weapon 3」1992年、「Star Wars」1992年、「Jurassic Park」1993年、「Guns N’ Roses」1994年などのビッグタイトルを連発し好評だった。


この時期、WILLIAMSは相変わらず好調で、ヒット作を作り続けていた。Mark Ritchieは、「Taxi」1988年を、のちに「Indiana Jones」1993年などを手がけた。

Pat Lawlorは「Banzai Run」1988年、「Earthshaker!」1989年などの傑作マシンを発表した。特に「Whirlwind」1989年は、ミニ・ゲームとそれを全て完成させたあとのビッグ・ゲーム、という概念を初めて取り入れたマシンで、その後のゲーム・コンセプトに多大な影響を与えた。


1992年にPat LawlorがデザインしたBALLYの「The Addams Family」が、累計生産台数22,000台を記録し、「Eight Ball」の持つフリッパー・ピンボールとしての記録を14年ぶりに破った。


1990年代に入ると、ピンボールのフィーチャーはますます複雑になった。また、版権マシンがメインになりBALLYは「Creature from the Black Lagoon」1992年、「NBA Fastbreak」1997年、WILLIAMSは「Indiana Jones」1993年、「Star Trek The Next Generation」1993年、「Congo」1995年、GOTTLIEBは「Street Fighter II」1993年、「Stargate」1995年、DATA EASTは「Last Action Hero」1993年、「Maverick the Movie」1994年などがリリースされ、点数はインフレ化する一方だった。

そして、1994年以降ピンボールの市場は急激に冷え込んでいく。

あまりに複雑なゲーム性や、家庭用ゲームの普及などによるプレイヤー離れに加えて、メインテナンスに手が掛かるピンボールをアーケードが嫌がり、なおかつインカムが上がらない事等が、その衰退の主な原因と考えられる。

複雑で難易度の高いルールや1000億点の桁の出現といった、行き過ぎた部分に多くの人達がピンボールを楽しめなくなっていったのである。


このような中で、GOTTLIEBのピンボールは、WILLIAMS/BALLYやDATA EAST/SEGA(1994~1999)に比べて地味な傾向は否定しがたく、業績が回復することは難しかった。

結局、世界的なピンボール市場の低迷を受けて1996年に業務を停止した。

ここに、世界最初のピンボール・メーカーであり最古のブランドであるGOTTLIEBの歴史は66年の幕を閉じた。


そして、WILLIAMS/BALLYは、PINBALL 2000というブラウン管をディスプレイとして組み込んだ新たな試みをピンボールに取り入れた。

これは同社のピンボールの苦境を脱する最後のチャレンジだった。

WILLAMSは大ヒット映画となった「Star Wars Episode I」の版権を獲得し、同名のピンボールをPINBALL 2000のWILLIAMSブランド第1弾として発表した。

しかし、1999年10月にWILLIAMS/BALLYの親会社であるWMSはピンボールの生産からの撤退を公式に発表した。

ここにWILLIAMSは58年、BALLYは69年の歴史を閉じることとなった。


これによって、WILLAMS、BALLY、GOTTLIEBというピンボールを代表してきたブランドはすべて消滅することになった。


1994年にDATA EAST PINBALLはSEGAのアメリカ法人に売却され、SEGA PINBALLが誕生した。

1999年にはさらにSEGA PINBALLを Gary Sternが買い取りSTERN PINBALLが発足した。

STERNの復活である。

10月末にはWILLIAMS/BALLYがピンボールの生産からの撤退を発表し、STERN PINBALLはピンボールの生産を続ける唯一のメーカーになってしまった。

残ったSTERN PINBALLは、その後ピンボール業界の有力なデザイナーやスタッフが集まる拠り所となり、「Terminator 3」2003年、「The Lord of The Rings」2003年、「Elvis」2004年、「The Sopranos」2005年、「Pirates of the Caribbean 」2006年といったマシンをコンスタントに発表している。


[編集] 黎明期からビデオゲーム登場まで

在米ユダヤ人のデビッド・ゴットリーブ(David.Gottlieb 1900年 - 1974年4月16日)が、後にピンボールの主要製造地となるシカゴで、家族企業によるデビッド・ゴットリーブ社を創業。握力測定機械などのアーケードゲームを製造する。
レイモンド・モロニー(Raymond.Molony 1900年 - 1958年2月)仲間と共にライオン・マニュファクチュアリング社を創業。
ゴットリーブがビンゴノベリティ社の「ビンゴ」(プレゼント大会で使われている現代のビンゴゲームとは別物で、日本のスマートボールに近い)に注目、権利を買って改良、「バッフルボール」として売り出し、ヒットとなる。ピンボールとしてある程度整った最初の存在となる。
ゴットリーブと販売取引をしていた業者の一人であるモロニーが、生産が追いつかないピンボールを自社でも作ろうと決意、風刺雑誌から名前をとって「バリーフー」と命名、ライオン社の製造部門のバリー(Bally)・マニュファクチュアリング社から発売。
シカゴコイン社(Chicago Coins)、創業。
バリー社「エアーウェイ」で、ボールの重みを使った自動得点集計機構を初採用。
ロサンゼルスのパシフィック・アミューズメント社の技術者だったハリー・ウィリアムズ(Harry.Williams 1909年 - 1983年9月)が、電磁石などを使ったエレメカ技術を「コンタクト」に採用。以後ウィリアムズは新技術導入に全力を注ぎ、1936年にシカゴに転居。各メーカーに技術を提供し、後年「ピンボール界のトーマス・エジソン」と呼ばれる様になる。同年、スロットマシンの人気に伴い、バリーのピンボール「ロケット」が賭け機能を搭載。
ウィリアムズがティルト機能を発明、バリー「シグナル」に初採用。
この頃までに四脚、バックガラス、エレメカ技術など、フリッパー以外の基本的機構が出揃う。しかしバリーはスロットマシンの製造を開始。以後バリーはギャンブル徹底拒否のゴットリーブと逆に、かなりギャンブル・マシンに傾倒したメーカーとなる。その結果シカゴでピンボールがギャンブルとして禁止、その他の大都市でも禁止となる。これにより多くのメーカーがピンボールから撤退した。
太平洋戦争勃発、各メーカーも軍需産業に協力する。
ウィリアムズ、ウィリアムズ・マニュファクチュアリング社を創業。
終戦により、ゴットリーブを皮切りに各メーカーがピンボール事業に復活。
ゴットリーブ「ハンプディ・ダンプティ」に、ハリー・マブスの考案したフリッパーを初採用。フリッパーを使ったボールの打ち返しにより、プレイヤーの腕前に左右される長時間のプレイが可能になる。フリッパーは当初上・中・下段等についていた。
ゲンコ社「トリプル・アクション」で初めて、下段だけにフリッパーが付く。その後は原則として下のみとなった。
ミッドウェイ社(Midway)、フリッパーに参入。
再ゲーム機能がギャンブルとして禁止になった為、エキストラ機能がゴットリーブ「フリッパー」に初装備。これは設定変更可能だった。
バリー社、フリッパーに再参入。また太東貿易(後のタイトー)、ゴットリーブを皮切りにピンボールの輸入を開始。
ウィリアムズ、ジュークボックスで有名なシーバーグ社に買収される。
バリー、ミッドウェイを買収。バリー・ミッドウェイ(Bally-Midway)となる。
フリッパーの大手メーカーはゴットリーブ、ウィリアムズ、バリー、ミッドウェイ、シカゴコインの5社でほぼ確立。
セガ、国内産初のフリッパー「ウィナー」を発売。
ロサンゼルスでフリッパーの規制条例が廃止、シカゴでも1977年1月に廃止。ピンボールが解禁となるが、一部の州ではいまだにリプレイが規制されている。

[編集] ビデオゲーム登場後

ここからはビデオゲームについて若干触れている。本来ピンボールとは関係ないが、ピンボールメーカーの殆どがビデオゲームに参入した為、切り離すことが難しい。この為ピンボールとビデオゲーム両方が記述されている。

アタリのビデオゲーム「ポン」のヒットにより、一部のメーカーがポンのコピーゲームを出す(メーカーやコピーゲームの名前などは「ポン」参照)
ミッドウェイ、ピンボール時代から親密な関係にあったタイトーのビデオゲーム「スピードレース」を3月にライセンス生産し、ビデオゲームに参入。またアーケード史上初のCPUを使ったシステム基板「8080基板」を開発、これを使ったビデオゲーム「ガンファイト」を11月に発売。
ゴットリーブ、コロムビア映画の子会社となる。
ウィリアムズの社長を退いたサミュエル(サム)・スターン(Samuel.Stern)がピンボールに参入する為、シカゴ・ダイナミックス社の資産を購入、スターン・エレクトロニクス社を創業。1980年8月からビデオゲームにも参入。
ゴットリーブ、フリッパー「クレオパトラ」で電子技術を初採用。
ウィリアムズやシーバーグで系列会社や社名の複雑な改廃。結局ウィリアムズの親会社はWMSインダストリーズとなる。
ミッドウェイ、ビデオゲーム「スペースインベーダー」をライセンス生産。
ゴットリーブ、フリッパー「ゴーガー」で音声合成を初採用(ここから後の変遷は後述の「独立性の高いピンボール社史」を参照)
ミッドウェイ、ビデオゲーム「パックマン」をライセンス生産。アメリカの歴史に残るヒット作となる。
ウィリアムズ、ビデオゲームに再参入し「ディフェンダー」を発売。ビデオゲーム史に残るヒット作となる。
バリーブランドのフリッパー部門が、バリー社からバリー・ミッドウェイ社に移管。この頃がバリーの黄金時代となった。

[編集] アーケード衰退期から現代まで

ビデオゲームの新分野であるLDゲームが登場したが、奥行きが無い為すぐ消滅。マイルスター、ミッドウェイ、スターン、アタリ等がダメージを受ける。
サム・スターンが死去した。1985年2月にスターン社は業績不振のため廃業。
バリー、買収し続けて来た子会社のリストラを開始。1988年7月にバリーブランドのフリッパー、ミッドウェイブランドのビデオゲーム等をWMSに売却。バリー・ミッドウェイ社はミッドウェイ・マニュファクチュアリング社の名に戻る。
WMS、バリーブランドフリッパー「アダムス・ファミリー」を発売、2万台という久しぶりのヒット作となる。またビデオゲームはミッドウェイブランドのみとなる。
バリー、ギャンブル機製造部門も複雑な統廃合を図る。WMSに売る事を検討していたが、結局アライアンス・ゲーミング社が1995年10月に買い取る。アライアンスのギャンブル機で使われている「バリー」が、現存する唯一のバリーブランドとなった。
タイムワーナー・インラクティブ社(TWI)、親会社のタイムワーナーから切り離されて身売りされるが、結局WMSが買収。社名をTWIからアタリゲームズに戻す。
バリー、最後に残ったカジノホテル事業がヒルトンホテルに買収される。
WMSからミッドウェイゲームズが分離、アタリゲームズもミッドウェイゲームズの一部門となる。WMSのアーケードゲームはフリッパーの下請け製造とギャンブル機のみが残る。
WMS、起死回生策としてテレビ画面を組み合わせた「ピンボール2000」シリーズを計画、バリーブランドフリッパー「リベンジ・フロム・マーズ」を発売。続けてウィリアムズフリッパー「スター・ウォーズ エピソードI」を発売したが、これでもピンボール販売不振の状況を変えるには至らず、WMSは10月にバリーとウィリアムズ両ブランドのフリッパー生産を中止した。
ミッドウェイゲームズ、アタリゲームズブランドを使用停止し、ミッドウェイ・ウェストと改名。さらに翌年3月にはミッドウェイゲームズがアーケードから撤退。

[編集] 独立性の高いピンボール社史

大手メーカーがからみ合う為年表が複雑化したので、単独で栄枯衰弱をたどった会社は、こちらにまとめた。

前述通りWMSとの絡みもあるが、ピンボール発売時代は独立性が強いのでこちらにまとめる。1976年11月に従来より幅の広い「ワイドフリッパー」で参入。一作目の「アタリタン」は、アタリを本拠地に活躍するアメコミヒーローがモチーフだった。ワイドフリッパーの一部はナムコ(現:バンダイナムコゲームズ)経由で日本でも販売されたが、大手メーカーには追いつかず、1979年4月の7作目「ヘラクレス」で撤退した。
こちらの詳細は「データイースト」参照。ドットマトリックス・ディスプレイはこのメーカーが初採用である。スターン・ピンボールは現存する唯一のピンボールメーカーとなった。なお前述したが日本のセガもピンボールを日本国内で製造していたことがあり、札幌オリンピックをモチーフにした「サッポロ」が有名だが、セガ・ピンボールとは違うことに留意。
  • ゴットリーブ→マイルスター→プリミア
1980年12月:日本のビデオゲームのライセンス生産でビデオゲームに参入。
1982年1月:親会社のコロムビア映画がコカ・コーラに買収される。
1982年11月:ビデオゲーム「Qバート」を発売。ビデオゲーム史に残るヒット作となる。
1983年7月:マイルスター社と改名。
1984年9月:「Qバート」以外のビデオゲームが全く売れず、LDゲームの失敗も拍車をかけて、コロムビアが廃業手続きを開始。だがマイルスターの重役だったギルバート・ポーラックが10月にプリミア・テクノロジー社を創業、ゴットリーブブランドのフリッパーは引き継ぐ。
1993年2月:フリッパー「ストリートファイターII」を発売。
1996年4月:最後のフリッパー「バーブワイアー」を発売。8月工場閉鎖、ゴットリーブブランドは消滅した。
カプコンが1994年にアメリカに作った子会社で、1995年5月にカプコンブランドでフリッパーに参入、4作を発売。しかし既にこの時代ゆえ余り売れず、1996年12月に撤退した。

[編集] コンピュータソフトとしてのピンボール

コンピュータアーケードゲーム初のヒット作「ポン」がピンボールゲームであると考えられたこともあり、ピンボールをコンピュータ上で実現しようとする試みはコンピュータゲームの歴史の重要な一面を形成している。

近年コンピュータ性能の向上に伴い、実機の感触に近づいたようなピンボールゲームが多数出現した。日本のソフトウェアメーカーでピンボールを作っているところとしては、主に米国PCゲーム界で評判の高かったLittleWing社や、セガサターンなどでのピンボールゲームでブレイクしたKAZe社などがある。

しかしながら、プレイした人が一番多いコンピュータピンボールはWindowsに付属している「3D Pinball 'Space Cadet'」(もとはMaxis社が製作したFull Tilt! Pinballの一部)ということになるであろう。グラフィック自体は現在の基準に比べるとリアルとはいえないものの、ほぼ標準でインストールされるためパソコン売り場で子供がプレイしている光景が良く見られた。実はこのゲームのヘルプファイルはピンボールの基本とこのピンボール台に存在する一通りの要素を解説しており、意外と奥は深い。

[編集] ピンボールが登場する作品

[編集] 参考文献

[編集] 外部リンク

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