パニック映画
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パニック映画(ぱにっくえいが)は、災害など突然の異常事態に立ち向かう人々を描く映画のジャンル。様々な人間の行動を描く群像劇(グランドホテル方式ともいう)となることが多い。異常事態を描くために大掛かりな特撮 (SFX) が使われることがある。英語ではディザスター・フィルム(またはムービー)という。
[編集] 歴史
パニック映画の歴史は古い。「映画の父」とも呼ばれるD・W・グリフィスが1916年に制作した『イントレランス』にすでにパニック映画の要素が見られる。1930年代の映画にも『桑港』の地震や『シカゴ』の火災のようにパニック映画の要素がある。1950年代から1960年代初頭のSF映画には『地球最後の日』のように大惨事を描くものが多かった。
1970年の『大空港』の成功により、1970年代はパニック映画が流行した。しかし、スタッフの努力も俳優の好演も見られない作品が矢継ぎ早に作られ、1970年代中頃にはパニック映画というジャンルは消耗し尽されていった。それから10数年後の1990年代中頃、特撮技術の進歩によって迫力のあるスペクタクルシーンを作れるようになりパニック映画が復活した。近年ではCGの編集技術も向上し、制作が容易になっている事も一役買っている。
[編集] 日本における状況
日本においては、1970年代にハリウッドで次々とディザスター・フィルムが制作された際、そのジャンルを分かりやすく、かつインパクトを与えるように意訳された「パニック映画」なる言葉が生み出され、「タワーリング・インフェルノ」や「大地震」の大ヒットで一般に定着した。以後、配給会社やテレビ局などにより、戦略的に使用されるようになり、本来の災害によるものだけでなく、何らかの異常事態により人々がパニックに陥るものは、ほとんど全てパニック映画として宣伝されるという弊害も招いた。
例えば、「カサンドラ・クロス」は細菌に犯された列車の恐怖を描いたものだが、クライマックスの鉄橋落下シーンが特に強調された。「大陸横断超特急」も、列車内で起きた陰謀にまきこまれた乗客のコミカルな冒険映画なのが、やはりクライマックスで列車が駅構内に突入するシーンばかりが宣伝された。また、地下鉄乗っ取りを描いた「サブウェイ・パニック」や、競技場での銃乱射の恐怖を描いた「パニック・イン・スタジアム」などは、原題とは無関係に、そのものずばり「パニック」と入った邦題がつけられている。だが、これらは、本来ならディザスター・フィルムの範疇に入れるには微妙な作品である。
一方、この時期には日本の映画会社もハリウッドに追随して、パニック映画の製作が行われた。東宝の「東京湾炎上」や、東映の「新幹線大爆破」がそれで、後者はフランスでも公開され大ヒットした。だが、予算的にはハリウッド作品に遠く及ばず、ドラマ部分はともかく、スペクタクル・シーンはミニチュアによる特撮で処理されているため、著しく見劣りしたのが現状だった。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 主な作品
- 猛吹雪のシカゴの空港においての群像劇
- セスナ機と衝突した旅客機をスチュワーデスが操縦する。
- エアポート'80
- コンコルドにミサイル攻撃を仕掛ける。
- エアポート'98
- 計器が故障した軽飛行機のパイロットを、別の操縦機上から必死に無線指示で救おうとするジェット旅客機パイロットの実話。
- エアポート'99
13歳の少女が墜落寸前の旅客機を操縦
- エアポート'2000
旅客機の機内で原因不明の奇病に冒される人々と米政府の陰謀。
- エアポート'2001
- 民間人の愉快犯により、機内に爆弾が設置される。
- エアポートシリーズとされるものは80までであり、あとの作品はテレビ向けの映画。
- 豪華客船の転覆。
同タイトルのテレビ映画もあり。
- 上の作品で転覆した豪華客船の中に潜入する窃盗犯の話
- ポセイドンアドベンチャーのリメイク
- 実話の豪華客船の沈没をもとに、そこで翻弄される人々を描いた
- 日本列島が海に沈むと予言した科学者と政府が、国民を救おうと悪戦苦闘する。
- ウイルス兵器が全世界に拡散し、南極基地以外の人類が死に絶える。
- 東京が高濃度の電磁気物質に包まれ、音信不通になる。
- 超高層ビルでの火災と、消防士の活躍。
- 東京湾炎上
- 原油積載の20万トン級タンカーのシージャック。石油基地を破壊せよとの脅迫に、日本政府が石油基地のミニチュアセットを破壊して犯人を欺こうとする。
- サンフランシスコの地震。
- 地震列島
- 東京を襲う直下型地震。大地震と同じような場面が随所に見られる。
- (竜巻)…もっとも「竜巻を好き好んで追いかける人々」を描く映画のため、パニック映画とは趣旨が異なる。
- ダンテズ・ピーク
- 火山の噴火。
- 地球に接近する隕石を破壊しようとする石油採掘技師。
- 地球に接近する隕石を破壊しようとする宇宙飛行士と、それを伝えるジャーナリスト。
- アステロイド
- 隕石が地球を襲う。
- アステロイド2
- (同上)
- 地球に接近する隕石を核ミサイルで破壊しようとする。
- 地球に接近する妖星から逃れる為、南極にロケットをつけ、地球を移動させようとする。
- 海底トンネルに閉じ込められる
- マントル対流の停止が招く全世界の異常現象を防ぐ為、科学者が地球の内部に潜入する
- 現代の氷河期
- サイレント・ワールド
- (同上)
- 上の映画の新幹線版。
- 上の映画の路線バス版。
- 上の映画の豪華客船版。
- ロサンゼルス市外中心部で噴火する火山の噴火
- 山火事。
- 強奪された最新鋭の地下鉄車両を奪還するため、警察官が犯人との交渉に挑む
- ジャンボジェットの自爆テロを防ぐ為、特殊部隊がステルス爆撃機で機内へ潜入する。
- 地球へ集団で襲い掛かる宇宙人と、撃退しようとする米軍の活躍。
- アウトブレイク
- 未知の病原体に封鎖されたアメリカの地方都市を、科学者が救助に悪戦苦闘する。
- ハイジャックされた大統領専用機を舞台に、大統領がテロリストと対決する。
- ウイルスに犯された特急列車が、政府の命令で破損した古い鉄橋に迫る。