トランス (化学)
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トランス (trans) とは、有機化合物や無機化合物の立体化学について、2個の置換基の位置関係を示す用語のひとつで、「シス」(cis) との対として用いられる。ほか、いくつかの化学用語で接頭語とされている。
[編集] 幾何異性体
アルケンなどが含む炭素-炭素二重結合は、通常の条件下では回転(分子内回転、内部回転)できないため、それぞれの炭素上に置換基が存在するときに2通りの幾何異性体(シス-トランス異性体)が区別できることがある。幾何異性体のうち、トランス型のものをトランス体、シス型のものをシス体と呼ぶ。下に、シス体、トランス体の構造を示す。
このように、二重結合を軸として同じ側に2個の置換基がある場合をシス、反対側にある場合をトランスと呼ぶ。
ほか、環状化合物(シクロ化合物)や平面配位型の錯体などでも幾何異性体が存在する。詳細は項目:幾何異性体を参照されたい。
[編集] 立体配座
X-A-B-Y と原子が配列した分子の立体配座のうち、X-A-B と A-B-Y の二面角が 180°に近いものを、トランス配座、あるいはアンチ配座と呼ぶ。このときの X-A-B-Y の配置は上述した二重結合のトランス体の構造と似ている。立体配座についての詳細は項目:立体配座を参照されたい。
トランス配座の化合物をシス配座のものと区別する場合、トランソイド (transoid) と呼ぶことがある。
[編集] 交換反応
交換反応を「トランス○○化」と表す。例として「トランスメタル化」(金属交換反応、transmetallation)、「トランスエステル化」(エステル交換反応、transesterification)などが挙げられる。