ツーリング・エクスプレス
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『ツーリング・エクスプレス』は、河惣益巳による少女漫画。「花とゆめ」(白泉社)に1981年別冊夏の号にアテナ賞受賞作品として掲載された。
1999年別冊8月号に掲載されたものが最終回となっているがその後も特別編として新作が発表されている。
目次 |
[編集] 概要
国際刑事警察機構 (ICPO) の新米刑事シャルルと超一流の殺し屋ディーンの恋物語として始まったが、現在では「ジェニー・シリーズ」との相互乗り入れにより、複数の主人公の生涯を描く大規模な大河ドラマとして発展を続けている。中期には大がかりな陰謀や犯罪を設定した長編エピソードも数多く描かれ、ストーリー構成の巧みさで高い評価を受けた(「ロシアン・エクスプレス」「ノルディック・ルーン・エクスプレス」等)。
[編集] 登場人物
- シャルル・オージェ
本シリーズの最も主要な主人公。元フランスの警察官。10ヶ国語を話せる上、弁護士資格も取得していたため警察学校卒業後すぐにICPOに配属される。男性。現在は国際的な殺し屋ディーン・リーガルの愛人。どんな人間の警戒心も解くことが出来る存在とされる。ヨーロッパの裏世界に幅広い人脈を持つ。
- ディーン・リーガル
作者が本シリーズを一番最初に書いたときの主人公。ただし、商業作品とするためには不向きな内容となってしまったためシャルル・オージェを主人公とした作品に変更したいきさつがある。バイセクシュアル。本名はアンドリュー・カーディフ。廃絶したスコットランド貴族カーディフ家の最後の生き残り。幼少時に伯父ランバートに誘拐され、殺し屋として英才教育を受ける。狙われたら絶対に逃げられない超一流の殺し屋とされるが情に篤く、依頼者の事情を斟酌した人間味溢れる仕事ぶりが光る。いとこでノルウェーの貴族の娘セルマ・マグダレナ・フォン・ネールエイとの間に一児をもうけるも、今のところ本人はそれを知らないらしい。
- エドアール・ティリエ
本シリーズの主人公の一人。元フランスの警察官。仕事の都合でオリンピックを辞退した射撃の名手でありまた柔道の強豪とされ、シリーズに登場するキャラ中でも(別格のディーンを除けば)アルフレッド・ロジャースやナシオナル・アラルコン・スミスと同格の天才的な戦士として描かれる。かつてはICPOの敏腕刑事であり、長年にわたってディーンを追い回すが最終的には和解し、友人となる。資産家・実業家であった妻から莫大な財産を受け継ぎ、現在は悠々自適の生活を送っている。事故死した親友の忘れ形見であるシャルルを養子としている。妻フランソワーズとの若き日の恋物語を描くエピソードは多い。非常に男気のある人物とされ、シャルルともどもどんな敵キャラとでも友人になれるという特殊能力を誇る。
- リュシオン・フォーレル
本シリーズの主人公の一人。シャルルの母の弟。つまり叔父。同性愛者で、ディーンの愛人だったこともある。フリーのジャーナリスト。夫はウスーリ。当初は脇役扱いであったが、本編完結後の「特別編」では、恋人(現在の夫)ウスーリとの恋物語が数多く描かれ、主人公格に出世した。
- フランソワーズ・ティリエ
本シリーズの主人公の一人。旧姓はレジャン。女優・劇作家・実業家。母親とは早くに生き別れ、父親はアル中という家庭で育つ。早くから美貌と演技力で舞台女優として頭角を現し、後に親友クレマンド・ファロアと劇団「ラ・ブリリアント」を旗揚げ。劇作家としても大成功を収める。求婚者が絶えなかったが、ある時、一人の求婚者とのトラブルから発展した殺人事件を捜査したエドアールに一目惚れし、電撃結婚。また後には幼いシャルルを引き取って育てることになる。ノルマンディ地方の貴族と再婚していた母親から死後に莫大な遺産を継承し、大富豪となるも夭折(死の経緯は今だ描かれていない)。
- アリョーシャ
元ロシア貴族で、旧ソ連で活動していたマフィアの総帥。グラナダの女占い師との間に娘をもうけるが、娘は夭折し、孫娘は自殺した。ディーンを実子のように可愛がり、自らの組織を継承させようとするも失敗。ディーンとシャルルの行く末を案じながら息を引き取った。
- ネフェル・ファラ・フォークス
精神科医かつ心理学者(心理学と精神医学は別の研究分野であり、両分野で専門家となる者は極めてまれである)で、特に心理学の分野では目覚ましい業績を持つ(作中での扱いから考えて「Nature」「Science」クラスの学術誌に大量の論文を発表していると思われる)。外科や内科など一般的な医療行為も全てこなせるらしく、身辺がヤバくなると紛争地域の赤十字に潜り込んでボランティアで医師をしてほとぼりを冷ましている。
夫とともにパレスチナ難民キャンプで活動していたが、イスラエル空軍の誤爆により夫を失う。その後アリョーシャに拾われて裏世界の住人となる。アリョーシャの最後を看取った唯一の人物。現在は心理学の研究者としてカタギの生活に戻りつつある模様だが、ディーンら裏世界の住人たちとのつきあいも続いている。博士号を持っているようだが、メディカル・ドクターのみを保持している者は普通は博士と呼ばれないので、おそらくメディカル・ドクターに加えて心理学でPh.Dを取得していると思われる。
- クレマンド・ファロア
舞台俳優で劇団「ラ・ブリリアント」主宰。フランソワーズの最も熱心な求婚者であった。フランソワーズの死後は恋敵であったエドアールの親友となる。フランソワーズの遺児であるシャルルを実子のように可愛がっている。
- ゾフィー・クリスティーネ・フォン・リーツェンベルガー
ドイツの実業家。リーツェンベルガー侯爵家の嫡男であるが出生時の問題があり女性名。以前は女装癖があったがアリサを好きになったことで女装はしないことを決意。初期の長編エピソード「ロマンティック・エクスプレス」の脇役として登場したが、強烈な個性でその後もシリーズの常連となる。祖母は京都の呉服屋の娘で、本人も漆黒の髪を持つ。実業家としての顔の他にも麻薬王という裏の顔を持つ。エリザベス・ローズ・フィッシュガードの一人娘アリサとは恋仲である。
- アーネスト・グレイン
英国情報部の士官。階級は中佐。長らくカウンターテロ活動に従事し、ディーンとも旧知の仲であった。後にディーンの正体を暴こうとしてディーンに暗殺される。初出は「魔法使いのローマンス」。
- ウジェーヌ・サンマール
短編「モンストゥール・サクレ2」で初登場。独特のキャラクターが買われて本編に登場し、常連キャラの仲間入りを果たす。モンマルトルの娼館で生まれた私生児。現在は男娼。またモンマルトルの裏世界の顔役でもあり、リュシオンとは飲み仲間である。モンマルトルに迷い込んだ田舎者のアンちゃんをからかうのが趣味であるが、実は田舎者が変な方向に道を踏み外さないように見守る心優しい男でもある。後にリュシオンの夫となるウスーリの兄貴分を自任しており、二人の恋の成就(と結婚)にも一役買った。
- ウスーリ・イェルマーク
旧ソ連軍兵士。ソ連崩壊後は傭兵として義兄のアレウト・シェリホフとともに「アリョーシャ」に雇われるも、アリョーシャの死で再び失職。ユーゴ内戦に参加している時に偶然ファラとリュシオンを発見し、シャルルとリュシオンを誘拐してエドアールを脅迫する。ディーンとエドアールによってシャルルとリュシオンが奪還された後、エドアールの斡旋で警備会社に就職し、プロのボディガードとなる。パリでボディガードをしている時にリュシオンと再会。恋仲となり、ウジェーヌらの応援もあってついにリュシオンを妻とする。
- ランディ
本名ランバート・カーディフ。スコットランドの貴族カーディフ家の当主だったが、第二次大戦を機に地位を捨てて地下に潜り、一匹狼の殺し屋となる。腹違いの兄弟でカーディフ家を継いだもう一人のランバート・カーディフの息子アンドリューを誘拐し、ディーン・リーガルとして育てる。後にディーンに殺されたとされるも、まだディーンがランディを殺すエピソードは描かれていない。
- 李艾■(リー・アイファン)
香港の名家の娘。ランディの愛人で、ディーンに中国語や格闘技、女性との性交を教えた。ディーンが唯一愛した女性とされる。後にディーンによって殺される。
- ユージェニー・ヴィクトリア・スミス
アメリカの軍閥系大富豪、スミス家の末娘。ピアニストとしての才能を持ち、16歳のときにプロデビューする予定であったが、父親ナシオナル・アラルコン・スミスに反発して家を出るため、アメリカ陸軍に入隊。陸戦指揮官として天賦の才を持っているとされ、分隊規模から中隊規模までの部隊を指揮して華々しい戦果を挙げている。アメリカ軍での最終階級は少佐。部下の士気の維持と戦闘の流れを読むカンに優れ、特に退却戦やカウンターテロ戦闘、ゲリラ戦での指揮を得意とする。現在はイングランドのアルドバラ公爵家当主。予備役として軍籍があり、階級は大佐。ヴァイオリニストであった夫(故人)との間に二人の息子がいる。
※本来は「ジェニー」シリーズの主人公であるが、傭兵時代のエピソードとして「ツーリング・エクスプレス」シリーズにも頻繁に登場する。
- エリザベス・ローズ・フィッシュガード
イングランドの実業家。元、英国空軍のパイロットで一女の母。パリのサン・ルイ島に別宅があり、そこでの隣人がエドアール。娘はアリサ。夫と死に別れた後、英国海軍士官ダグラス・ブルーと再婚。ゾフィーの初恋の相手。
※本来は「マリン・ブルー・マリン」シリーズの脇役であるが、「ツーリング・エクスプレス」シリーズ後期から頻繁に登場。
- ダグラス・ブルー
「マリン・ブルー・マリン」シリーズの脇役として登場。同性愛者。強烈な個性が評価されたのか、「ツーリング・エクスプレス」本編登場を果たす。憧れていた男の子が結婚した際にヤケ酒を煽ってうっかりエリザベス・ローズ・フィッシュガードと同衾してしまい、後に夫となる。
[編集] 単行本
- 白泉社文庫から本編全14巻
- 白泉社コミックスから特別編が5巻まで(以下続刊)
[編集] 「完結」
本シリーズはディーンとエドアールの和解が為った時点で「完結」となっているが、もともとの物語のプロット(「刑事と凶悪犯の恋愛」)を考えると、若干不自然なタイミングである。本来ならばシャルルが警察に辞表を出して駆け落ちをした時点で、そもそもの物語は完結が可能なはずである。これは作者によれば、もともとこのシリーズはライフワークとして描き続けていく予定ではあるが、どこかで区切りをつけておきたいという希望もあったので、その為(だけ)にあのタイミングで「完結」となったとのことである。
[編集] サブタイトル(カッコ内は舞台となった土地)
- ツーリング・エクスプレス
- 霧のロッテルダム・ポート(オランダ、ロッテルダム
- パリ・コネクション(フランス、パリ)
- サンタ・ルチアは恋唄(イタリア、ヴェネチア)
- ラヴィアンローゼ
- ハイデルベルグ・クライシス(ドイツ、ハイデルベルグ)
- グラン・ヴァカンス
- 銀のフォーカス
- チャイナ・ロード・エクスプレス(英国領、香港)
- ミスティー
- 琥珀色のフラン
- ロシアン・エクスプレス(ソ連、モスクワ・レニングラード・ナホトカ)
- ロシアン・エクスプレス―エピローグ―(ソ連、ウラジオストック)
- フランソワーズ
- サンタ・マリア・エクスプレス
- 黒のミラージュ
- カルメン
- ロマンティシュ・エクスプレス(フランス、パリ; 西ドイツ、バイエルン地方)
- ボーギャルソン
- ノルディック・ルーン・エクスプレス(ノルウェー、ストックホルム・ナルビク)
- シシリアン・エクスプレス
- ヴァーサス
- エトランジュ・エクスプレス(イスラエル、エジプト)
- プチ・ヴァカンス
- オリエンタルI
- オリエンタルII
- 聖夜
- ダーク・サイド
- パリジャン
- 狂宴
- ガウディーの街から(スペイン、バルセロナ)
- 花闇
- N.Y.ララバイ(アメリカ、ニューヨーク)
- アン・フィニ―永遠―
- セ・フィニ―終局―
- 黒い森(シュバイツバルト)
- ファム・ファタール―男達の運命―(フランス、パリ)
- XO―極上―
- ハンティング―印象派の森―(フランス、バルビゾン)
- パラダイス―楽園―
- ファム・ファタール―ノエルの奇跡―(フランス、パリ)
- ハプスブルグ―鷹の城―(オーストリア、ウィーン)
- ファム・ファタール―運命の女―
- ディザイア―情炎―
- ジュテーム―蜜月―
- マジャールの薔薇―狂想曲―(ハンガリー、ブダペスト)
- ジューテム―誓約―
- カーニバル―千年祭―
- ダイヤモンド―クラリティF―(ベルギー、アントワープ)
- フランドル―緩衝地帯―
- ドーバー―境界線―
- テロリスト―暗殺者―
- ルーツ―荒野へ―(スコットランド)
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