ダブルスピン

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ダブルスピンとは、手塚一志が研究発表した野球の投球および打撃のフォームで、手塚によると理想のフォームとされている。ジャイロボールを投げるのにも有利な投球モーションである。提唱当初は二重回旋運動（にじゅうかいせんうんどう）としていたが、同じものである。

[編集] 理論

以下は、手塚の理論による主張である。

[編集] 体の中の2つの回旋軸

人間の体には回旋運動が出来る二つの軸がある。まず脊柱。これを回旋させる事で最初のスピン（1srスピン）が生まれる。第二回旋軸は肩甲骨と腕で形成されている。肩甲骨から肘まで上腕を回旋軸と考え、肘は90度に曲げておく。そして上腕を内向きに回せば第二の回旋運動（2ndスピン）が生じる。この二つの回旋軸が絶妙なタイミングでリンクした時ダブルスピン投法が姿を現す。

[編集] 筋肉を束で使う

二つのスピン運動を引き起こすためには、筋肉を単独でなく束で使うことが重要。この発想を理解するにはプロペラの付いたおもちゃの飛行機を思い浮かべるといい。プロペラを巻くと束状になったゴムは巻かれ平等に引っ張られていく。これ以上巻けない地点から開放するとプロペラは徐々に速度を上げ回転する。限界までよじったゴムがよじり戻されたわけだ。このゴムを筋肉に置き換えればよい。通常脊柱動物の多くはよじりやねじりを行い、その反射として戻し作用を上手に活用することで指先、足先を加速している。ピッチングもその戻し作用を活用した運動の一種である。1stスピンは第1軸のよじり戻し運動であり2ndスピンは第2軸のねじり戻し運動である。脊柱を中心とした体幹部をよじり戻しながら両腕をねじり戻せばダブルスピン投法となる。

[編集] フォームはなんでもいい

ダブルスピンは原理でありみんなが同じフォームになる訳ではない。投球の際には、足の上げ方や腕の高さなどは個性的で構わない。体つきや筋力など色んな要素でフォームは無数にある。オーバースローでもサイドでもアンダーでもダブルスピン投法は可能である。要は二つのスピンがかけ合わさればダブルスピンとなる。

[編集] ダブルスピンは肩を消耗しにくい

二重振り子で投げた場合と違い、束で筋肉を使うので筋ダメージは分散され一箇所だけに集まる事は無い。疲労の蓄積は分散されているので徐々に疲れていく。二重振り子の怪我のように急に激痛が走るというリスクはかなり少なくなる。

[編集] ダブルスピンと二重振り子運動

手塚によると、従来の「壁を作る」意識を持たせるフォームの理論は誤ったものであるとされる。壁を作ることで、脊柱の回旋にブレーキが掛かり、身体の特定の部分（とくに、投球時は投げるほうの肩）の筋肉にダメージが蓄積され、故障の原因となる。また、回旋にブレーキをかけるタイミングの微妙なずれが、コントロールが悪くなる原因になるとしている^[1]。

従来の「壁を作る」理論を、振り子の糸を支点とは別の点で固定して振らせる動きになぞらえて「二重振り子」と呼んでいる（「二重回旋」を「ダブルスピン」と呼び替えたのは、二重振り子との用語の混同を避けたためとされる）。

[編集] ダブルスピン理論への批判

ピッチングにおいて肩の極度の回旋が故障の原因となることは医学的に証明されている事から、この軸の回転で腕が振られるという理論には筋肉を束で使うスパイラルリリース等の概念をよく理解できていない人間から否定的な意見もある。

手塚らが理論を提唱する根拠として、自らが行ったシミュレーションの結果（二重回旋により腕は効率よく振られる、真のジャイロボール（フォーシームジャイロ）は初速と終速の差と制球も落ちにくい、等）を挙げているが、モデル化や計算方法が一般には示されておらず、真意のほどは不明と批判する人もいる^[要出典]。『魔球の正体』にて多少姫野龍太郎氏によって公開はされている。

ジャイロボールの存在自体は確認されているが、それを投球する投法については、手塚氏らが提唱する理論が正しいとは証明されていない為疑う人間がいる^[要出典]。

参考記事 : 新しい魔球ジャイロボールの投球動作とボールが作る流れの数値解析

西武松坂投手や早稲田実業斎藤投手など、手塚が理想だとする投球フォームに関しては広く知られているが、それはダブルスピンという言葉でなくとも説明できるものであるとして、彼の理論を一流投手の動きに無理矢理当てはめ^[要出典]ようとしている、という穿った意見もある。

革新的な指導者や競技者には絶大な支持を受ける反面、特に保守的な指導者は彼を受け入れたがらない傾向がある。