タンプル塔
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タンプル塔(タンプルとう, Tour du Temple)は、現在のフランス・パリ3区にあった小さな要塞。フランス革命の際に国王ルイ16世が幽閉された場所でもある。
[編集] 概要
13世紀のフランスでは国王をしのぐ金持ちと言われていたテンプル騎士団(タンプル騎士団)の本拠地であった。1312年にテンプル騎士団が廃止されるとこの塔は聖ヨハネ慈善修道会に分与され、1776年に修道会の代表となったアングレーム公爵の所有となる。公爵は当時1歳であったため、父であるアルトワ伯爵が管理した。フランス革命後は修道会は廃止され、フランス革命政府の所有物となった。バスティーユ牢獄が完成するまでは牢獄の役目をしていたこともある。
1791年、ヴァレンヌ事件の後はフランス革命軍によりルイ16世・マリー・アントワネット・マリー・テレーズ・ルイ・シャルル・エリザベス内親王が幽閉された。その際は外が見えないよう、すべての窓を厚い布で覆っていた。
ちなみに若き頃マリー・アントワネットのよき遊び相手であったアルトワ伯爵は冬になるとこの塔へそり遊びに何度か訪れたという。
ルイ・シャルルが1795年にタンプル塔の一室で亡くなってからは、そのまま利用されることもなく放置された。ナポレオン1世は旧時代のこの塔を忌み嫌い1808年に取り壊しを命じた。現在はパリ3区の区役所と小さな公園になっており当時のタンプル塔の形跡は何も残っていない。