セル (ドラゴンボール)
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セルは鳥山明の漫画『ドラゴンボール』およびアニメ『ドラゴンボールZ』『ドラゴンボールGT』に登場する架空のキャラクター。アニメの声優は若本規夫。
初登場は原作では其之三百六十一「謎の怪物、ついに出現!!」、アニメでは『ドラゴンボールZ』第141話「かつてない敵に向けて・・・ 超ナメック人誕生!!」。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 外観・性質等
人造人間20号(ドクターゲロ)が開発したコンピュータにより、孫悟空ら武道の達人たちと数種の生物の様々な細胞を組み合わせて出来たバイオテクノロジーによる人造人間(主に挙げられているのが、孫悟空、ベジータ、ピッコロ、フリーザ親子、アニメではクリリンが天津飯の気も感じると発言)。
武道の達人たちの細胞が組み込まれているため、元になった達人たちの能力・技を全て使うことができる。ただしフリーザ親子を除き、悟空たちがナメック星に行く前までのデータしかないため、それ以降に悟空たちが習得した技(悟空の瞬間移動など)は使えない。
最初は虫のような状態らしく、孫悟飯たちがセルの脱皮した後の抜け殻を発見している。脱皮した後は背中から生えた尻尾を人間に刺し、生体エキスを吸い取って成長、パワーアップする。ただしロボットには通じず、人造人間16号からエネルギーを吸収しようとした際は失敗していた。尻尾の先は普段は針状に尖っており、普段は相手に突き刺してエキスを吸収するが、口を漏斗状に大きく拡げて相手を丸呑みにするなどある程度柔軟に変形させることができる。さらに人造人間17号・18号を吸収することで「完全体」になる。
現代の脱皮後の姿では17号・18号には敵わないらしい(そのため数え切れぬ人間のエキスを吸収してパワーアップした)が、未来の17号・18号には勝てる、というような言葉を洩らしていた。
完全体になり、外部から他者を吸収する必要が無くなった後は尻尾も短く退化したが、かつて吸収口だった部分から自らの分身である「セルジュニア」を生み出せるようになった。
ピッコロの細胞を含むため、身体の一部が残っている、または頭部の核が残っていれば、何度でも再生が可能(頭部の核については後述。始めはこの再生能力を失念していたため、ピッコロの腕の再生を見るまでは使っていなかった)。また、サイヤ人の悟空やベジータの細胞も含まれているため、瀕死状態から復活すれば大幅なパワーアップが起こる。またフリーザ親子の細胞により宇宙空間を行動できる(アニメより)。
[編集] ストーリーへの絡み
元々は悟空が心臓病で死んだ後の未来で生まれ、17号・18号(悟空が心臓病で死んだ後の未来では「19号・20号」)を吸収して完全体になるために行動開始。しかし2人はすでに過去から帰ってきたトランクスに倒された後だった。そこでセルはトランクスを殺害し、タイムマシンを奪って2人が倒される前の過去にやってくる。タイムマシンに乗るため卵の状態に戻ったため、孵化し成長、脱皮するまで数年かかった。
ピッコロと17号の戦いの際に現れ、17号が油断した隙に17号を吸収し第二形態に。精神と時の部屋で修行を積んだベジータに圧倒されたが、「完全体と戦いたい」というべジータの身勝手で無謀な望みから、べジータの協力を得てその後18号を吸収し完全体となり、ベジータやトランクスを一切寄せ付けない強さを見せる。その後、セルゲームを開催し悟空達と戦うことになる。
セルゲーム終盤、本当の力を解放した孫悟飯に殺されそうになり、さらに吸収した18号を吐き出してしまう。このままでは勝ち目が無いと悟り地球もろとも自爆しようとするが、悟空に北の界王星に瞬間移動させられ、悟空・界王様とともに北の界王星で自爆した。
しかし核が残っていたため復活。さらに瀕死の状態からの復活であったためパワーアップし(前述の通りセルは様々な武道の達人たちの細胞を持っており、そのうちのサイヤ人たちの細胞の特性である。ただし、ナメック星人の再生能力で復活した為体力まで完全回復しておらず、早急に戦いの決着をつけようとしていた)、18号なしで完全体になったのに加えて、超サイヤ人2への変身も可能となり瞬間移動までも会得。再び悟飯たちを苦しめるが、悟空の意志を継いだ悟飯のかめはめ波で完全に消滅する。
トランクスの生まれた未来の世界では、トランクスを殺しタイムマシンを奪って過去の世界に来るはずだったが、セルゲーム後に未来に帰って来たトランクスの敵ではなく、手も足も出ずに敗れて消滅した。また現代では、ドクターゲロの研究室で成長中だったものをトランクスたちが完全に破壊したため、時間が経過してもセルが出てくることはなくなっている。
アニメではセルゲーム後のあの世一武道会編で敗れたショックからかフリーザ一味(ギニュー特戦隊(ギニュー隊長はいなかった)やコルド大王なども)を従え地獄の支配者となり(本来支配に興味はない)、地獄で好き放題していた。孫悟空を倒そうと襲い掛かるが、その隙を突かれて、パイクーハンにあっさりと倒されてしまう。魔人ブウ編では地獄から界王神界での悟空達とブウの戦いをフリーザ一味やDr.ゲロなどと共に観戦し、私より遥かに凄い戦いをする者がいるなんて・・・などと感心している姿も見られた。
[編集] セルの必殺技
基本的に悟空達の技を使う。
[編集] 原作・アニメで使用
- かめはめ波
- ピッコロとの闘いやセルゲームにて使用。完全体の状態で本気になれば太陽系を破壊する程の威力を秘め、セルゲーム終盤では悟飯と壮絶な撃ち合いを見せた。
- 太陽拳
- 元々は天津飯をはじめとした鶴仙流の技。悟空やクリリンでも使用できる簡単な技。セルはピッコロ達からの逃走の際、この技を使用し逃れている。また18号を吸収する際にも使用している。
- デスビーム
- フリーザの技。名前はゲームより。悟飯との闘いにて使用。また復活した際この技でトランクスを殺害している。
- バリヤー
- 悟空の連続気功弾を防ぐ為に使用。これは吸収した17号に備えられていた機能と思われる。エネルギーフィールドとも称される。
- 瞬間移動
- 悟空から学習。この技により、界王星で爆発したセルは悟飯達の前に現れた。
[編集] アニメのみで使用
- 魔貫光殺砲
- ピッコロの技。Z142話他で使用。142話においてはかめはめ波より前に使用し、ピッコロを驚かせた。
- ギャリック砲
- ベジータの技。Z157話で使用。超ベジータに全く通用せず、足元の岩場が砕け下敷きになってしまう。
- 四身の拳
- 天津飯の技(アニメ版では天津飯の細胞も採取した事になっている)。Z178話で使用。セルの物は従来の物と異なり力が半減するという欠点を克服している。
- 気円斬
- 元々クリリンが開発した技だが、セルのものは手を動かすことで自由に遠隔操作が出来る操気弾系の追跡型の技であり、フリーザが使用していたタイプのもの。Z178話他で使用。悟空には避けられ、悟飯には受け止められてしまった。
[編集] 原作・アニメともに未使用(各種ゲームのみ)
- 元気玉
- 悟空が界王から習った技。実際にはセルは使用しなかったが、その気になれば使用が可能と発言している。このことから、セルの元気玉は悟空の元気玉がこの世の善の気を集めることに対して、悪の気を集めるものであるとの意見がある。
[編集] 補足
フリーザ親子の細胞を摂取した際「サイヤ人の細胞は十分だったため、トランクスの細胞は必要なかった」という内容の発言をしている。これを受けて、一部のファンの間では「トランクスが過去に行った前提で生み出されたのではないか?」という意見がある(トランクスの未来では悟空がフリーザ親子を倒しているため)。また悟空、べジータ、ピッコロの細胞を摂取した際、ナッパの細胞を摂取しなかった事を指摘するファンもいる(この時点で明らかにピッコロよりも強かった)。
悟空の瞬間移動を自爆寸前と言う一瞬で体得したことから、「魔人ブウ同様に高い学習能力を誇り、瞬間的にでも技を見切ることが出来れば、その人物の技を習得可能」ととらえる意見もある。
悟空との戦いでは、頭部をかめはめ波で完全に吹き飛ばされてたにもかかわらず、再生している。前述のように、再生は核が傷ついた場合は不可能なはずであり、「核はこの時点で吹き飛ばされているのでは?」とファンの間で物議を醸している。この矛盾の解決としては「核を一瞬で体内の別の場所に移動させたのではないか」とする説と「核と肉体の両方が破壊されないと再生できるのでは?」という二つの説が有力とされる。また後に18号を吐き出し第二形態に戻ったに関わらず完全体の状態で復活したのは「体の激しい変化に細胞がついていけなかったから」とする説もある。
セルの第二形態は、作者の中ではもっと活躍させる予定だったが、編集担当者に容姿を酷評され、早く完全体にするようアドバイスされたため、予定よりも早く完全体が登場することとなったという。
セルの体にある無数の斑点は、「絵的に寂しい」という理由で作者が付けたが、毎回毎回サインペンで描くのが面倒くさかったという。これはアニメスタッフも同じで、当時はCG処理は無くセル画で製作していた為、セルが登場する全ての原画と動画に斑点を一つ一つ描かなければならず、さらに斑点に影も付けていた為、苦労は並大抵ではなかったという。
最近では、データカードダス「ドラゴンボールZ」のCMにてべジータ、フリーザに続いて驚き役となっている。
アニメ版でセルの声優を務めた若本は、独特の唸り声等でそれぞれの形態を巧妙に演じ分けた。近年のゲームでも、当時以上にさらなる怪演振りを見せている。
『ドラゴンボール』に登場した代表的な悪役として、ピッコロ大魔王、ベジータ、フリーザ、魔人ブウらと並び称される。
冷静に見ると間抜けな行動を多くとっており、インターネット上にはそこを突っ込んでネタにしているHPもある。
[編集] ドラゴンボールGT
ドラゴンボールGTではあの世とこの世が混ざった際、地獄でフリーザと共に悟空を襲来。合体技「ヘルズバスター」を繰り出すも、結局悟空に敗れており、完全に噛ませ犬としての登場だった。
この時、全く使用していなかった尻尾を伸ばし悟空を吸収したが結局脱出されてしまっていた。