ゲルリッヒ砲
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ゲルリッヒ砲（ゲルリッヒほう）とは砲尾から砲身にかけて口径が小さくなっていく砲。口径漸減砲。ドイツではゲルリッヒ博士によって開発されたためこの名称がある。砲身内部の発射圧をより効率的に砲弾に加えることができ、通常の同口径の砲よりも砲弾を加速させることができる。そのため、口径の割には強力な貫通力を持つ砲となる。
理論は第二次世界大戦以前から欧米で研究されていた。しかし、高圧に耐える弾の実用化が難しいという問題に直面しており、当時は実現不可能とされていた。しかし、ドイツでは1940年の時点で実用化・量産しており、主に東部戦線（対ロシア戦線）で対戦車用として実戦投入されていた。イタリア戦線等でも使用されており、当時捕獲した米英諸国は実際に使用されているのを見て唖然としたという。実際、T-34などの当時のロシアの主力戦車に対しても効果が大きかった。また、砲一式がコンパクトだったので、分解して歩兵が背負って運べる等、理想的兵器だった。この様に利点は多かったが、砲弾に使用するタングステン鋼が、ドイツ国内で産出しない物であり資源不足のため、砲弾の製造に困難をきたした。1942年には砲弾不足により、砲も製造中止になっている。また、独特の設計のため、弾頭の大型化に難があり、バズーカや対戦車ミサイルのように一般化することはなかった。
現在、似た原理で発射するAPFSDS（装弾筒付翼安定徹甲弾）などの砲弾が存在するので、無駄な部分が多いこの大砲は実戦に登場することはまず無い。
