クーノ・フィッシャー
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クーノ・フィッシャー(Ernst Kuno Berthold Fischer,1824年7月23日-1907年7月5日)は、ドイツの哲学者、哲学史家。19世紀前半に興ったドイツ観念論を始めとした各種哲学研究において、非常に高名な人物である。哲学史研究においても著名で、彼の著「近代哲学史」は、日本においても1950年代までは、多少なりとも哲学を学んでいた学生には、必ずといっていいほど知られていた哲学の教科書であった。現在我々が哲学史の教科書で見ることが出来る西洋哲学の概略は、クーノ・フィッシャーによるところが大きいと言うことが出来ほどである。
[編集] 生涯
ザンデヴァルデの生まれ。1844年にライプツィヒ大学に入学し、古典文献学を修得。のちに、ハレ大学において哲学・神学を学ぶ。1850年にハイデルベルク大学で哲学の私講師として講義を行う。しかし、汎神論的見解を示すようになり、不服ながらも講義資格を剥奪される。その後も、ハイデルベルクにおいてダーウィト・シュトラウスら共に哲学研究を行う。1856年には、イェナ大学に哲学教授として招聘される。当地での講義は、評判を呼んだ。1872年には、元のエドゥアルト・ツェラーの後任で、ハイデルベルク大学に復帰することができ、1903年まで当大学において講義を行う。1907年にハイデルベルクにおいて没す。
彼は、いわゆるヘーゲル学派の第二世代に属する。フィッシャーが教壇に立った頃は唯物論哲学が盛んであり、カントやヘーゲルの哲学から急速に遠のいっていた時代であった。そして、ショーペンハウアーがもてはやされていった時代であった。しかし、哲学を研究する際には、カントやヘーゲルの哲学成果を無視するわけにはいかないはずであり、それらを哲学の始原でもある、スピノザやデカルトなどにも触れなくてはならないと考えた。 そこで、フィッシャーは、1852年から1877年にかけて、順次｢近代哲学史」として全十巻11冊のシリーズ本を出版。デカルト、スピノザ、ライプニッツ、カント(全2巻)、フィヒテ、シェリングをついで1897年に、ヘーゲル(分量が多く2冊)、ショーペンハウアー、フランシス・ベーコンが刊行された。このシリーズ、哲学者の生涯はもちろんの事、各哲学者の哲学体系を事細かく、文学的で明晰に再構成しているとの評判でたちまち人気のテキストとなった。
