オートレース選手

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オートレース選手（オートレースせんしゅ）とは、公営競技のオートレースにおいて、賞金を獲得するプロの選手である。オートレーサーとも呼ばれるが、正式名称は小型自動車競走選手である。

日本のプロスポーツとしては1000名弱程度の選手が存在し、スーパーグレード (SG)と呼ばれる競走（レース）で活躍しているトップレベルの選手になると年間に1億円以上の賞金を稼いでいる。

[編集] オートレース選手になるには

オートレース選手になるためには、まず、2年に1回行われる日本小型自動車振興会の選手養成所入所試験に合格しなければならない。この試験は極めて競争率が高い。この試験に合格すると、筑波サーキットに併設されている日本小型自動車振興会選手養成所に入所し、10ヶ月の基礎訓練を行う。この間、候補生は正月の帰省以外の私用外出は許されず、外部との連絡も手紙、電話（時間限定）に限られる。この養成所生活を経て、選手資格検定（規定タイム3.60以上）に合格した者が日本小型自動車振興会の選手として登録され、各オートレース場へ配属となる。なお、2006年 11月1日の段階で第30期新人選手の募集はされていない。

[編集] オートレース選手の生活

オートレース選手は職業分類上、個人事業者である。かつては競走車を自宅に持ち帰り整備することも可能だったが、1993年 10月のセア統一後は整備要綱が改正され、選手による競走車の持ち出しは禁止された。

競走開催期間中、選手はオートレース場から出ることを禁じられている。また、外部との連絡も原則として禁止されており、携帯電話は前検日に競走会へ預ける。これは、不正防止の為には必要不可欠な事であり、他の公営競技でも同様である。数年前、携帯電話で会話をする選手がテレビで中継されてしまい問題となった。携帯電話を持ち込んだ選手は斡旋停止処分が下された。

[編集] オートレース選手の収入

選手の収入は、主に競走に出走した際の賞金で賄われる。一般競走の1着賞金は約8万円前後、一般競走の優勝賞金は30万～50万前後、記念（GI･GII）競走の優勝賞金は200～400万円程度、SG競走の優勝賞金は1500万円～2100万円である。

前述した通り、オートレース選手は個人事業主という扱いであり、エンジンや競走車のフレーム、タイヤ、部品、更にはツナギやプロテクターに至るまで全て自費で購入しなければならない。そのため、ランク上位に属する選手は潤沢に部品を購入することが出来、それ故競走車の性能も高い水準に保つことが出来る一方、ランク下位に属する選手は整備費用に事欠き、副業を持っていることもある。

[編集] 選手のクラス分け

選手は晴・雨等全ての競走の競走成績を対象として入着順位、競走タイム順位を得点化した審査方法により、全国統一ランキングによってクラス分けされる。1月1日～6月30日の競走成績に基づくランキングが10月～翌年3月まで適用され、これを前期ランクと呼び、7月1日～12月31日の成績に基づくランキングが翌年4月～10月に適用され、これを後期ランクと呼ぶ。上位60名がS級、それ以降の200名がA級、更にそれ以降の220名がB級に叙される。S級第1位の選手は全国ナンバーワンとしてナンバーワン勝負服を纏ってレースに出ることが許される。2006年度後期適用ランキングにおけるS級第1位は浦田信輔選手（飯塚オートレース場所属）。

[編集] 選手寿命

オートレース選手の寿命はかなり長い。競馬や競輪などと比べて、体力よりも技術に比重がかかる競技システムから言えば当たり前でもあるが、そのことを前提にしても、60歳代の選手が現役で走っていることも決して珍しくないというのは、他の競技に比べるとかなり珍しい光景と言える。一方で、事故による殉職や落車事故の後遺症などで若くして去る選手も少なからず存在する。平均化すると、デビューが20歳として、大体30年から40年といったところであろうか。因みに、現在の現役最年長選手は川口オートレース場所属の富永竹二、浅井孝祐両選手の2名で、両名とも2006年現在で68歳である。

因みに、森且行がデビューした頃、オートレースをよく知らない一部メディアが、こうした年配選手が現役で走っていることを捉まえて「あんなロートルでもやっていける生温い業界」という、極めて侮辱的な報道を行った事がある。しかしながら、こうした批判は的外れであるといえる。森がデビューした1997年当時のベテランといえば、大半が期前（因みに期前とは、選手養成所による養成制度が開始される以前に選手となった者を指す便宜的な呼称の事である）の選手で、彼らは例外なく現在の舗装路コースより危険なダートコースでの競走に身を置いていた。また、中にはダート時代から舗装路時代の中途までを四輪車競走の選手として過ごし、四輪車競走の廃止に伴って二輪車に転向した選手もいた。多くの仲間を若い頃に落車事故等で失い、それでもなお現役のオートレース選手として戦い続けてきた彼らはこうした報道に大いに憤ったと言われる。中でも、故・小須田栄一選手（川口オートレース場所属、1937年 6月5日 - 2004年 9月20日）の怒りは凄まじいものであったと伝えられ、それ以降しばらくの間見違えるような競走成績を挙げ、他の選手や侮辱的な報道を行った一部メディアの人間を瞠目させた。ファンの中にはこうしたベテラン選手の活躍を楽しんでいる者も多く存在する。

オートレース界にも新陳代謝制度が存在し、競走成績が振るわない選手が自主的に引退をしていくという制度がとられている。特に飯塚オートレース場では多くのベテラン選手ーがほぼ一斉に引退し、平均年齢が大幅に低下した経緯がある。しかし、現在は新規の選手候補生の募集を行っていないこともあってか、新陳代謝制度は実質的には機能を停止している。

[編集] 全日本オートレース選手会

オートレース界にもプロ野球などと同様に全日本オートレース選手会（以下選手会）という組織が存在する。非常に強い権限を持っており、事実上、個人事業主である選手の雇用主という側面もある。オートレース選手は選手会の全国の支部に所属しなければならない。そうしないと競走の斡旋を日本小型自動車振興会から拒否される。実質的には絶対所属しなければならないということになる。

選手へのペナルティを参加自粛要請という形で日本小型自動車振興会とは独立して行うこともあり、しばしば二重制裁と言われる。また、オートレースとは関係のない独自の事業を行って選手会への積立金を立て、会員に還元する試みを近年行っている。この場合、積立金の還付を受けるのはほとんどがランキング下位に属する選手となる。

選手会の幹部はオートレース選手ではあるものの、競走へはあまり参加していない。これは選手会の業務が忙しいためと言われる。そのため何年も競走へは参加していない幹部も多い。しかし、中には梅内幹雄（19期、船橋オートレース場所属。選手会船橋支部長）選手のように積極的にレースに参加している幹部選手も少なくない。

[編集] 余談

飯塚オートレース場の初期、村上俊春、田中健二郎、江角選手等の名選手が存在した。
ダート時代、一時的にではあるが女性のオートレース選手が存在した。150㏄の6級車でレースを行っており、半ば見世物のようなものではあったが人気はなかなか高く、浜松オートレース場に所属した岡本七重選手など、人気選手も多かった。しかし、殉職事故の多発や選手層の薄さによるレースの単調化とそれに伴う人気の低下、更には結婚等の事情による選手引退が連続し、上記した岡本七重選手が1960年に引退したのに伴い、自然消滅という形で廃止になった。しかし、2006年 12月23日に川口オートレース場で開催されるスーパースターフェスタ (開催4日目)に、『オートレース･ウーマンズリーグ』と題し、実に46年ぶりに女性レーサーによる4周回の模擬レースが行われると発表されている。