ウォーターシップダウンのうさぎたち
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ウォーターシップダウンのうさぎたち(Watership Down)は、リチャード・アダムスが野うさぎを主人公に描いた児童文学作品で、彼の処女作である。物語の主役は野うさぎの一群のお話で、タイトルはイギリスのハンプシャー州の北部にある丘の名前にちなんだもので、アダムス自身が育った場所である。この物語は、もともとはアダムスが、田舎旅行の間自分の子供たちに話して聞かせた物語をまとめたものである。原稿は13の出版社から断られた挙句、1972年にレックス・コリンズ社から出版され、翌1973年イギリスの著名な文学賞、カーネギー賞とガーディアン賞をダブル受賞した。
この物語のウサギたちは典型的な架空の動物物語に比べると、面白いことにあまり擬人化されていない。彼らは技術も持たないし、服も着ていない。その代わり彼らの野性の生活の中で持っている身体能力や本能をそのまま備えている。それにも係らず、彼らは知性を持ち、仲間同士コミュニケーションをとる事ができる存在として描かれている。さらにアダムスは、自分の描くウサギたちにに言語(ウサギ語)やことわざ、詩歌や神話までも含んだ文化というものまで与えている。いくつかの章は、こうしたウサギの言い伝えのみに当たられていたりする。「ウォーターシップダウンのうさぎたち」は動物擬人化の物語の典型的なもので、いくつかの出版社のバージョンにはウサギ語の用語集まで付録としてつけられている。イソップ童話のような動物のお話とは全く種類の異なった生粋の英雄物語のような味わいをもったファンタジーといっても良いだろう。
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