おちゃめなふたご
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「おちゃめなふたご」は、イギリスの児童小説家イーニッド・ブライトンが書いた作品で、6冊からなる。セント・クレアという名の寄宿学校の物語。
主人公は、パトリシア(パット)・サリバンとイザベル・サリバンの二人の少女で、この二人は一卵性双生児である。物語は、この二人が入学するところから始まる。そのほかの登場人物には、アリスン・サリバン(主人公たちのいとこにあたる)、ヒラリー、カーロッタ、ロバータ(ボビイ)などがいる。第1巻では、パットとイザベルはセント・クレアを嫌い、入学することを拒む。両親たちは、この双子たちが、以前通っていたレッドルーフスという学校で甘やかされてしまったと考え、このセント・クレアに入学させることに決める。でも双子たちは、セント・クレアへ行っても、教師たちの言うことを聞かずに、さんざん手を焼かせてやろうと考える。入学後、双子は、いたずら好きのジャネットや級長のヒラリー、そのほかの人々に出会う。6冊の内訳は、次のとおり。
- The Twins at St. Clare's (1941年)
- The O'Sullivan Twins (1942年)
- Summer Term at St. Clare's (1943年)
- Second Form at St. Clare's (1944年)
- Claudine at St.Clare's (1944年)
- Fifth Formers at St. Clare's (1945年)
それぞれ日本語版が出版されている。これら6冊以外にも、パメラ・コックスによって書かれた本が2冊ある。もとの6冊の物語上の透き間を埋めるために書かれたもの。たとえばブライトン版の6巻目では、双子たちは5年生になっていて、来年のヘッド・ガールに指名されるところで終わるが、コックスの Sixth Form at St. Clare's では、6年生になった二人を描いている。コックスによって書かれたものは、以下のとおり。
- Third Form at St. Clare's (2000年)
- Sixth Form at St. Clare's (2000年)
テレビでは「おちゃめなふたご クレア学院物語」としてアニメ化もされた。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 登場人物
[編集] クレア学院の生徒たち
- パトリシア・サリバン
主人公。パットと呼ばれている。初めはクレア学院を嫌い、わがまま放題やろうと決心していたが、クレアのよさにだんだんと気づき、院長先生からも絶大な信頼を得るような良い生徒になっていく。イザベルより無鉄砲で大胆だが、悪いことをすると誤りを認める素直な面もある。
- イザベル・サリバン
主人公。パットの双子の姉妹。パットと同じくクレア学院を嫌っていたが、パットよりおとなしくて従順な性格のためか、パットのようにはわがまま放題には振舞えず、一歩ひく面も。パットと同室。
- アリスン・サリバン
サリバン姉妹のいとこ。サリバン姉妹がクレア学院に入学した後にやってくる。可愛らしさを鼻にかける面もあり、双子をはじめとした多くの友達から敬遠されるが、卑劣な振る舞いに対しては毅然と拒否し、見直されることになる。
- ジャネット・ロビンズ
いつもお兄さんからいたずら道具を仕込んでいるほどのいたずら好きだが、いたずらがばれた時にはしっかりと謝る面もある。そのため、卑怯なことや卑劣なことが大嫌いで、勇敢で正直であることを賞賛する。ボビイと同室。
- ヒラリー・ウエントワース
しっかりと自分の考えがあり、級長のポストにぴったりな少女。実際に級長の経験もあるが、優等生にありがちな堅物な面はあまり見られず、友達といたずらなども一緒にすることもある。しかし、卑怯・卑劣なことはしないため、人気者である。
- ドリス
物まねが大の得意。十八番はマドモアゼルの物まね。難しい長いフランス語の詩も身振り手振りをつければ覚えられるが、動かないとまったく出てこない。フランス語が苦手でマドモアゼルにrの巻き舌の注意をされる。パメラと同室。
- カーロッタ・ブラウン
母親がスペイン系の混血の少女。怒るとスペイン語が出る。運動神経が非常に優れている。サーカス団の人々と世界をめぐっていたが、普通の生活を送るためにクレアにやってきた。クロディーヌと同室。
- ロバータ・ヘンリエッタ・エリス
通称ボビィ。カーロッタと同時期にクレアに入学。ジャネットに負けず劣らずいたずら好き。物事に一生懸命に取り組むことが苦手だったため、「ちゃらんぽらんのボビイ」と呼ばれていたが、考えを改めて優等生になる。ジャネットと同室。
- キャサリン
おとなしくひ弱な性格の少女。動物が好き。ある事情のため、他の生徒とは違ってお金が無く、寄付やおごりが出来ないのを引け目に思い、お金を盗んでしまう。
- シェイラ・ネイラ
気取り屋。成り上がりの金持ちのお嬢さまだが、言葉遣いばかりだけがお嬢様のようで、実際の服装や身だしなみはお嬢様とはほど遠い少女。
- パメラ・ボードマン
通称パム。カーロッタと同時期にクレアに入学。大きな眼鏡をかけていて三つ編みをしている少女。勉強以外のことにはあまり興味を持たない。学年最年少で秀才だが、気の弱いところがあるため、プルーデンスに利用されてしまう。ドリスと同室。
- プルーデンス・アーノルド
カーロッタと同時期にクレアに入学。父親は牧師。議論を持ちかけることが得意。クレアの生徒も先生たちも頭を抱えてしまうくらいにずるくて性悪な少女。
- サディ・グリーン
カーロッタと同時期にクレアに入学。アリスンの憧れるアメリカ人の少女。基本的にはおっとりとしていて優しい性格なのだが、おしゃれにばかり気をかけていて、話すことも洋服や髪型や映画のことばかりなので「頭が空っぽ」と評されることも。
- マージェリー・フェンワージー
アリスンと同時期にクレアに入学。スポーツは大得意な少女。顔立ちは整っているものの、丁寧な言葉を使い慣れていないこともあって、最初は周りの人々に対してぶっきらぼうに振舞っていた。実家はお金持ちだが事情を抱えていて、家にも学校にも居場所はなく、悪いことは彼女のせいにされるので本人もひがんでいた。学校を6つも退学になった。自分に二度も濡れ衣を着せたエリカを命がけで助ける。
- ルーシー・オリエル
アリスンと同時期にクレアに入学。父親は画家。何でも出来る人気者の天才少女。父親が手に怪我をしたことで収入が得られなくなり、学費を稼ぐことが難しくなったために奨学金試験を受ける。
- エリカ
ずるく、卑劣な心の持ち主。生徒はおろか、先生たちにもあまり関わりを持ちたくないと言われている。あるパーティーで双子が呼ばれたにも関わらず、自分を呼んでくれなかったことから、双子を恨むことに。双子に対して卑劣な振る舞いをし、結果としてマージェリーに二度濡れ衣を着せる。ルーシーや院長先生に説得され、心を入れ替えようと決意したものの、最終的には自分から退学を選んだ。
- アンジェラ・フェイバリー
貴族の家柄の威張りや少女。わがまま放題の一人っ子で、美しい顔をしている。美しさを優先する母に育てられた。アリスンと同室。
- ポーリーン・ビンガム・ジョーンズ
貧乏を恥じ、架空の家族を作っていた。自分を溺愛する母親を恥じる。アルマと同室。
- フェリシティ
音楽の天才。過度の疲労で夢遊病になる。アンマリーと同室。
- アンマリー
自称詩人。だが暗いもったいぶった詩ばかり作るので、ちっとも認めてもらえない。誰もが認める天才のフェリシティをねたむ。フェリシティと同室。
- クロディーヌ
マドモアゼルの姪。フランス人でイギリスの子たちと合わない。昔は修道院にいたが、やはり環境が合わず転校。怒ると何をするか分からず、命にかかわることもやる。無断で人のものを借りたりと、クレアの子達を振り回す。カーロッタと同室。
- アントワネット
クロディーヌの妹。アンジェラが嫌いだが、好きなふりをしていたずらする(高級なクリームで靴を磨く、靴クリームをアンチョビペーストの代わりにトーストにぬる)。
- グラディス・ヒルマン
母親が病気でふさぎこんでいた。ミラベルに演劇の才能を発見され、チャリティショーで発表してから認められた。ミラベルと同室。
- ミラベル・アンウィン
ひねくれもので意地っ張りだった。中間休暇までという約束でクレアにきていたが、グラディスと仲良くなり残ることになった。スポーツキャプテンになり、低学年をビシビシ教育する。グラディスと同室。
- アルマ・プディン
気だるそうで太っている。食いしん坊で下級生のパーティ用ごちそうをぬすむ。
[編集] クレア学院の先生たち
- 院長先生
その名の通り、クレア学院の院長。かつてはクレアに通っていた双子の母のことも知っている。どのような生徒も暖かく見守る。
- ロバート先生
双子のクラスの担任の先生。口もとのきりっとした美しい女性。生徒たちには厳しく接するが、自分の過ちは素直に認める。
- マドモアゼル
上の名前はマチルダ。双子のクラスのフランス語の先生。かなり年をとっている独身の女性。声が低く、鼻眼鏡をかけている。「なげかわしい」が口癖になっていることから、双子は「嘆きのマドモアゼル」と呼ぶ。生徒たちのいたずらにあっさりとひっかかる。姪のクロディーヌとアントワネットをだいぶ甘やかしている。
- ケネディ先生
双子のクラスの歴史の先生。本来クラスで歴史を教えていたルイス先生の友達ということもあって、代わりにやって来た女性。気弱でいたずらをされやすいこともあり、生徒から馬鹿にされていて、授業をまともに進められないことを悩む。
- クウェンティン先生
アリスンが憧れる演劇の先生。気取った声を出し、悪趣味なファッション。自分をほめてくれる人にしか興味がない。チャリティショーで初めて気づいたグラディスの才能を自分の手柄にし、アリスンの主役の座をグラディスにするようなずるい面もある。
[編集] 翻訳
- エニド・メアリ・ブライトン 『おちゃめなふたご』 佐伯紀美子訳、ポプラ社〈ポプラポケット文庫〉、2005年。ISBN 4591088529
- エニド・メアリ・ブライトン 『おちゃめなふたごの秘密』 佐伯紀美子訳、ポプラ社〈ポプラポケット文庫〉、2005年。ISBN 4591089258
- エニド・メアリ・ブライトン 『おちゃめなふたごの探偵ノート』 佐伯紀美子訳、ポプラ社〈ポプラポケット文庫〉、2006年。ISBN 4591091171
- エニド・メアリ・ブライトン 『おちゃめなふたごの新学期』 佐伯紀美子訳、ポプラ社〈ポプラポケット文庫〉、2006年。ISBN 4591092542