いぎす豆腐
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いぎす豆腐（いぎすどうふ）とは、愛媛県今治市を中心とした瀬戸内海地方に伝わる郷土料理。紅藻に属する海藻のイギス（Ceramium kondoi Yendo）を大豆粉と共に煮溶かして固めた食品。紅藻を煮溶かして冷やし固める点で全国区の心太（ところてん）や寒天、福岡県博多のエゴノリを用いたおきゅうと、千葉県銚子のコトジツノマタを用いたのげのり（最近は海藻こんにゃくとして売られることが多い）などと同一系統の食品である。また、大豆を大豆そのものの蛋白質と苦汁の反応で固めるのではなく、他の材料に含まれる多糖類のコロイドによって固める点で、すりつぶした枝豆を葛粉などの澱粉を用いて固める枝豆豆腐などの系譜にも含めることができる。
[編集] いぎす豆腐
いぎす草と呼ばれる海草と生大豆の粉を入れて煮溶かし醤油などで味をつけて冷やし固めたもの。 いぎす草を使い豆腐と同じ大豆を原料にして固めた食品であることから「いぎす」＋「豆腐」→「いぎす豆腐」と呼ばれるようになったと思われる。 主に瀬戸内海沿岸で郷土料理として食べられており、地方によって単に「いぎす」と呼ばれることもある。広義のいぎす料理、つまり生大豆が入らずに、『いぎす草を煮溶かし固めたもの』を基本とする郷土料理は主に西日本以西の地域で見られるようである。
[編集] 地方や家庭での差異
いぎす豆腐とは『いぎす草と生大豆の粉を煮溶かし冷やし固めたもの』を基本の定義としている。 しかしそれ以外の部分、具材の有無やその種類や味付けなどは各地方、更には各家庭でかなり異なる。 中に入れる具材はえびや煮干しの戻したもの等の魚介系や、にんじん・ごぼう・枝豆等の野菜系、こんにゃくやひじき等その他の具材の組み合わせなど多岐にわたる。 いぎす豆腐自体の味付けをみても醤油の塩気主体のものから、かなり甘みを感じる味付けになっているもの、いぎす豆腐に対して醤油をかけたり酢味噌のようなタレをかけて食べるものなど地域や家庭で大きな広がりがある。
[編集] 消え行く郷土料理
脂分や味の濃いものを嗜好する現代人の食生活との乖離、また核家族化や両親の共働きによる家庭料理の簡素化が進んでいることで、あっさりとした日本の味で調理にも一般的に手間のかかる郷土料理を作る家庭は減少する傾向にある。 いぎす豆腐についてはこのことに加え、その主原料となる「いぎす草」の収穫量が年々減少して その値段がどんどん高価になってきおり、経済的にも一般家庭で手軽に作れる郷土の味ではなくなってきている。
